Nu blog

いつも考えていること

『ルポ百田尚樹現象』の感想

雑誌「SPA!」の熱心な(?)読者としては、2年前に『ゴーマニズム宣言』が復活して以来、小林よしのりという人が何を考えている人なのかはよくわかるのだが、どういう人なのかはよくわからんなーと思っていた。 というのも、私の先入観では「小林よしのり=…

スケッチ(酒)

学校の漢文の授業の最中に同級生のSが手を挙げて質問した。 「先生は沙上に臥すほどワインを飲んだことはありますか?」 授業を撹乱してやろうという意図見え見えの質問だったが、先生はうーんと唸り、しばらく考え込んだ。その顔からは、答えは「ある」だが…

シン・エヴァンゲリオンの感想

エヴァンゲリオンを観た。 一言で述べるなら「ありがとう、全てのエヴァンゲリオン。おつかれさま、庵野秀明」である。みなさんそうではないだろうか。 たくさんの観点から語ることのできる重層的な物語を圧倒的な映像の面白さ、楽しさでまとめあげた。話題…

スケッチ(美容院)

駅前銀座に美容院ができた。 店長は30半ばのバツイチで、サーフィンが趣味の浅黒い肌、フレームのデカいメガネで、アゴの尖った輪郭はクジャクとかそういう派手な鳥を連想させた。東京のカリスマ美容師の美容院で修行していたことが売りだという。 ここまで…

コーポレート・フェミニズム

ユ・インギョン『明日も出勤する娘へ』(サンマーク出版、2020年)を読んだ。 「韓国 フェミニズム」は日本における一つのブームとなっているから、サンマーク出版もいっちょ乗っかってやろうと手を出したものと推察する。「韓国 フェミニズム」がブームじゃ…

スケッチ(春)

贔屓の力士が引退した。贔屓と言ったってただのファンだから、「推し」くらいのものだけど。度重なる怪我で休場を続けた最後の一年間、私が彼の姿を見ることはほとんどなかった。 時折報道で見かけても、数秒しか映らないから元気かどうかわからなった。だか…

フィリップ・オーディング『1つの定理を証明する99の方法』

フィリップ・オーディングの『1つの定理を証明する99の方法』を読んだ。 「もしもx3−6x2+11x -6=2xー2が成り立てば、x=1かx=4である」という証明に対する99の解法を示す大作である(x3はxの3乗を示してます)。 最初に示されるのは「証明 省略 □」である。…

スケッチ(朝の駅)

ある朝のこと、会社の最寄駅に着いた。 ホームでうずくまっている人がいた。 俺はエレベーターで振り返ったが、その人は見えなくなった。 改札でおじさんが俺の前に強引に割って入った。 改札機に紙の切符を通して、せかせかと去っていった。 隣はICカード専…

夫婦別姓Eテレドキュメンタリーの感想

「夫婦別姓“結婚“できないふたりの取材日記」を見た。Eテレのドキュメンタリーで、本当は2月13日の放送だったのが、地震速報で潰れ、2月17日の再放送が注目を集めることとなった。 https://www.nhk.jp/p/etv21c/ts/M2ZWLQ6RQP/episode/te/Z92N6V4P7Z/ 内容の…

スケッチ(ミッドナイト)

寒い夜に勉強をしていた。資格試験の教科書を広げ、ノートに要点をまとめ書き写していた。試験は三ヶ月後だ。教科書はあと半分残ってる。 ユニクロのヒートテックやスウェットを着て防寒していたが、ボロい社宅は寒かった。暖房をつけても、隙間から寒い空気…

「勉強します」がいつも答え

2/25号「週刊新潮」、古市憲寿氏の連載「誰の味方でもありません」188回において、「自分が『古く』なってしまったら……」と題し、森喜朗元首相による女性差別発言について論述されていた。 論旨をまとめると、 「1980年代には時の中曽根首相が「出産と育児は…

スケッチ(ふくらむちゃん)

感染者の拡大もあって、年末年始も実家に帰らず、そのまま二回目の緊急事態宣言になり、それがさらに延長されて、十一月の晴れた日に、実家に顔を出したのが逆効果で、里心のついた私は無性に地元の空気を吸いたくなって、二月の妙な祝日を利用して連休を作…

マーク・キングウェル『退屈とポスト・トゥルース SNSに搾取されないための哲学』

原題は『WISH I WERE HERE』。「私がそこにいたらいいのに」という高校英語で習った!みたいなタイトルである。 しかし、その原題が重要で、本書の確信を端的に言い表している。もちろん、邦題に掲げられた「退屈」も「「ポスト・トゥルース」もキーワードだ…

スケッチ(スキー)

スキー派は俺と清水さんだけだった。他の四人はスノボー派で、道中散々「教えてやるからスノボーにしろよ」等々勧誘を受けたが跳ね除けた。別にスキーは楽しいのだから、乗り換える必要などないのだ。下手に乗り換えて、こけまくったり、怪我したりしたら、…

『〈民主〉と〈愛国〉』

むむ。『単一民族神話の起源』や『1968』と違って、何だか難しかった。 目的は「民主」とか「愛国」とか、「国家」や「民族」、「市民」や「国民」のような、現在も使われる言葉がどのように変化していったのか、という「戦後の言説を再検証」することである…

スケッチ(スワイプ)

金曜日の夜、友人らと飲みながら、ふざけてダウンロードしたマッチングアプリを、日曜の夜に開いた。その時は運転免許証が要るとか、登録する写真がどうとか、そういう手間がいろいろあることを教わって、「わかったわかった、また後でやるから」と皆を宥め…

『花束みたいな恋をした』の荒ぶる感想

絶対に自分語りはしないぞ、と心に決めつつ、これから100%自分語りをしてしまう共感力。 そう、『花束みたいな恋をした』を観てしまった。期待してた以上の強さ。死んだ。泣いた。隣に座る妻がドン引いていた。菅田将暉(またはオダギリジョー)を観に来て…

スケッチ(繰り返される)

「えっ、山村さんが絡んでんの? そりゃ仕方ないな、なあ」 と部長が呆れたような笑いを浮かべて、こちらを見たので、そうですねえ、と俺も口の端で笑って同意した。山村さんのことはよく知らなかったが、部長のその反応をとらまえて、とにもかくにもお追従…

言葉について

東洋経済に「なぜ地方出身者は東京に「染まる」のか」という論考があった。 東京大学大学院経済学研究科の佐藤泰裕氏による「社会的同化という問題を帰属意識変化の観点から分析」した研究の簡単なまとめらしい。 社会的同化にかかる帰属意識変化については…

スケッチ(独身)

風呂に入りながらスマホをいじっていた。TwitterやYouTubeをダラダラ眺めるだけ。半身浴の肩に汗がぷっくり浮いて、風呂の水面に向かって落ちていく。 ザ・ギースのハープ動画ばかり見てたら、どこかの音大生のハープ動画までおすすめされ始めて、見てみるけ…

小熊英二『1968』

年末年始で読みました、2009年発刊の本書。上下巻あわせて2000ページ。 学部生だった時の話題の書で、ゼミの先生の本棚に鎮座していたのを思い出す。 前年若松監督の『実録・連合赤軍』を観ていた私は、教授との話のネタにした。詳しいねえとか言われながら…

スケッチ(スマホにパスモ)

スマホにパスモを入れた。 スマホを忘れたら電車に乗れないじゃないか、と思ってたくせに、広告を見ていたら気になって、手続きとか難しいのかなと思って検索していたら、そのまますんなり手続きしてしまった。 俺にはそういうおっちょこちょいなところがあ…

小熊英二『日本社会のしくみ』

小熊英二の『日本社会のしくみ』を読んだ(特にきっかけがあるわけではないが、小熊英二の著作を集中的に読んでいるのである)。 上級職員、下級職員、現場労働者という三層構造はどこの社会にもある。日本における三層構造は明治期にはヨーロッパ的な身分制…

スケッチ(絵を描く)

その美術館は狭く、入館料は200円、四半世紀前に亡くなった芸術家のアトリエがそのまま開放されているだけで、庭に置かれた彫刻を見ながらお茶するのが一番の見どころ。ちなみに、お茶するだけでも200円払わないといけない。 油絵の匂いが好きで、アトリエに…

『独学大全』感想

読書猿『独学大全』を読んだ。辞書的に使うことを想定された本だったが、その作りの明瞭簡潔さと独学の方法を余すことなく教えてくれる内容がおもしろくて頭から最後までずーっと読んでしまった。 なぜ学ぶのか、動機からはじまり、いかに時間を確保し継続す…

スケッチ(不思議)

昨年、家の周りの木を全て切り倒したら、鳥の居場所がなくなったらしく、ベランダにたむろして、フンなどを落とすようになった。 鳥のフンを片付けるのにも慣れた頃、散歩をしていると、ところどころ鳥の羽が落ちているのに気がついた。大きくて立派な羽だっ…

読書紀

小熊英二の『単一民族神話の起源』を読んだ。分厚い分厚いと敬遠していたが、スッキリとした章立てで、内容もすっと入ってくるし、学術書のはずが、一般書のような読後感であった。こういうのを文章力というのだろうか。狐につままれたような気分である。 「…

スケッチ(事件)

ねえ、お父さんの時代ってさ、大学で革命だとか言って大騒ぎがあったりしたんだよね? と娘が言うからめんくらってしまう。オレは平成生まれなので、娘が言う大学闘争はたぶん、オレの生まれる四半世紀位前の出来事だ。娘にとってオレは、もしかして白黒写真…

ラグビーの戦術

これまでになかった ラグビー戦術の教科書 作者:井上正幸 発売日: 2020/03/30 メディア: 単行本(ソフトカバー) オーストラリアがシーケンスの概念を確立、スクラムやラインアウトから選手が決められた通りに動くことで相手側ディフェンスを意図的に動かし…

スケッチ(カチューシャ)

年末の晴れた日に大掃除をしていると、懐かしいカチューシャが出てきた。 このカチューシャをして、高校生の時も大学生の時も勉強したものだった。会社に入ってからの私は勉強しなくなったから、カチューシャも使わなくなってしまった。 そう思えばこの小さ…