2019-01-01から1年間の記事一覧
2019年振り返り企画その二。 美術展について。 結局のところ、官展が一番質、量、迫力すべてにおいて他を凌駕したと言えるだろう。東京国立博物館の「美を紡ぐ 日本美術の名品」は圧倒的な展覧会であった。唐獅子図屏風、檜図屏風、納涼図屏風・・・。西洋の…
2019年振り返り企画その一。 まずは音楽。 パッと思い出すのは、ミツメの「Ghosts」から「エスパー」や「セダン」「なめらかな日々」といった上質な楽曲たち。美しい音と優しげで不穏な歌詞。伸びやかなムードと倦怠感、屈託のない笑顔とつまらない日々。そ…
サウナ好きにとってのサンクチュアリ、サイト「サウナイキタイ」のアドベントカレンダーに記事を書けた。 抽選の結果運よく当たったもので、外れたらここに載せようと思ってたから、驚いた。おヒマな時に、他の人の記事も合わせてついでに読んでみてください…
ビルの隙間からくぐもった冬の空気のにおいがした。それは決していい匂いではなく、きっと暖房器具の排気が充満したもの。 それは私には懐かしいにおいだった。 小学校六年生の時、塾通いをしていた私の嗅いだにおいだ。 塾までの道のりは少し遠かった。最寄…
水曜と金曜に記事を上げるようにしてから、一年が経った。単純に百本書いたということだ。 短いものでは数百字だが、ラグビーW杯については一万字超えで書いてしまったし、原稿用紙にすれば二、三百枚というところか。 四月から大学に通い始めて、二千字程度…
スーツを仕立てた。 私は元来服を買うのが苦手だ。 スーツを買った経験は数えるほどしかない。いや、なんならここで書いてしまえるほどだ。 リクルート時、入社後すぐ、入社四年目、二年前、そして今回。この五回きりである。 リクルート時と入社後すぐはグ…
「同期のサクラ」五話目までがとても良かった。 遊川和彦作品は『女王の教室』以降、『純と愛』のせいで遠ざかっていたため、あまり見る気もなかったのだが、たまたま第二話の途中から見始めたら「あ、これおもろいやつや」となってしまった。 ラグビーW杯終…
先日、お店で注文したものがなかなか提供されない事態に遭遇してしまった。 オーダーが通ってなかったのではなく、どうやら私たちの後に同じメニューを注文したテーブルへ、間違えて出してしまったようだった。 結果、厨房は私たちのオーダーを処理したもの…
今年の春先、どこからどう紛れ込んだのか、押入れの中にネズミが入り込んでしまった。とつぜん、木をギリギリと押すような、削るような音がした。初めは、隣の家の人が何か騒いでいるのかと思ったが、違かった。 ネズミが押入れから出られなくなっていたのだ…
靴紐がよくほどける。ほどけるとは、解けると書く。そんなことはどうでもよい。 ずっと昔から、何度上手な結び方を調べても理解できないし、覚えられない。 歩いてると、突然に解けた感覚がする。靴の中を足が滑って、紐がビャンビャン当たるからだ。 都会に…
神戸ビエンナーレがいつのまにか企画ごとなくなっていた。 2007年から始まり、2015年まで5回開かれたアートイベントで、私は2011年から3回、訪れたことがある。 コンテナの中に作品を展開させたり、海沿いの公園に作品を散りばめたり、寂れた高架下で作品を…
多摩センター駅まで、CINRAのイベント、NEWTOWNへ行った。 お目当ては柴田聡子、そしてmomである。 できればカネコアヤノも観たかったが、翌日のトリだったため断念。ツイッターによれば、かなり良いパフォーマンスだったそうな。悔。 多摩センターには初め…
若い男の子が可愛らしくて仕方がない。 先日二十五歳の後輩社員と飲んだ。前日いきなりメールしてきて「明日飲みましょうよ」なんて送ってくる。この誘い方もまた可愛いんだ。 自分が同い年の頃、そんな可愛いマネできなかった。三〇歳となった今に至っても…
冬、室内に暖かい日差しが射し込んでいるのを見ると、ロートレアモン伯爵の『マルドロールの歌』を読んだ時のことを思い出す。 なぜ、その本を手に取ったのか。家の本棚に残した本は、たいてい思い入れがあるので、本を手に取った時のシチュエーションを思い…
ラグビーW杯が閉幕した。 一生に一度。このキャッチフレーズが大会をずっと引っ張ってくれたように思う。 現在のところ、W杯はラグビーの魅力を最大限引き出してくれる最高の舞台であり、その魅力を「日本初」というシチュエーションがさらに引き立ててくれ…
かつて爆笑問題が文筆家と対談する『爆笑問題のススメ』という番組をやっていた。 ダウンタウンがミュージシャンならこちらは文学だ、というアンチテーゼ的なところも多分にあったのだろう。 真鍋かをりが出ていて、当時の文学少年達は皆真鍋かをりファンだ…
家を出る時に「家に帰りたい」と呟いてしまう。家が大好きなのだ。 自動車の教習所で、車に乗った時は自分の身体が大きくなったと思いなさい、と指導された。十八歳の社会学部生・私は「身体の拡張や!」とマクルーハンを想起して歓喜したものだが、教官は何…
牛肉が好きだ。 この度の結婚記念日には牛しゃぶを食した。美味かった。高かった。 関西は牛肉文化だと言う。カレーも肉じゃがも牛肉だ。関東はどちらも豚肉が「普通」らしい。関西にはビーフカレー、関東にはポークカレーという言葉がないなどと言う。本当…
図書館で意気揚々と本を借りたら、一度読んだことのある本だった。 まったく気がつかなかった。本の背中を見て気になって、書架から取り出して最初の数ページを立ち読んだ時、「おもしろそうだな」なんて思ったくらいだ。 家に帰って読んでみたら、既視感既…
コートールド美術館展 コートールドとは人の名前である。イギリスで印象派を集めたという少し変わったお人である。なんせイギリスは保守的だから、印象派の評価は当初まったく低いままであった。印象派はアメリカでブレイクした新時代の美術なのである。そん…
ラグビーがこんなにみなさんの注目を浴びるとは・・・。日本で行われる初のラグビーW杯。興奮しているのは私一人だけかと、チケットを確保した2年前からやきもきしていたのですが、いざ始まってみれば、老いも若きも、にわかも数十年ぶりのファンも、とにか…
山崎ナオコーラ「ブスの自信の持ち方」 山崎ナオコーラはいつもあくまでも個人主義である。「個人主義」って言葉に学術的な意味があるかは知らないが、簡単に言えば「みんながみんな一緒ではないから、変な連帯なら要らないよ」というような考えだと思ってい…
一年半前に書いてたのにアップしてなかったので加筆し、今更ながら(2018年4月)。 鷲田清一『モードの迷宮』(中央公論社、1989)を読んだ。 図書館で目についたから借りたので、文庫版でなく、ハードカバーである。装丁がかっこいいと思ったら、やはり菊池信…
芦花公園にある世田谷文学館へ「原田治展」を観に行った。秋である。 原田治。私にとってはミスタードーナツの景品の人である。一人暮らしの時に、母親に持たされた食器の中にそれがあって、捨てられないまま今も持っている。 雑誌の挿絵や広告、ノベルティ…
高見順『いやな感じ』 一行目から「大傑作を読んでしまった!」という感触に満ちているのは、なんなんだろう。「これ、ヤバイやつや、ヤバイヤバイ」とあたふたしながら読んだ。 アナーキストの半生。アナーキストは実行あるのみ、ボルは口だけ! おすすめの…
昔のインターネッツは、などと回顧的になるほどでもないかも知らんが、二〇〇五年頃っていうのが自分にとって「昔のインターネッツ」である。 その頃、ツイッターは影も形もなく、ミクシィが出てきた頃で、しかし十八歳未満は使えなかった。ブログが流行って…
NUMBER GIRLが再結成した。日比谷野音のチケットが取れなかったため、難波まで遠征することとなった。 なんばハッチ、キャパ二千弱(らしい)に対し私のチケット番号は千七〇〇番台。開場後、入場まで軽く十五分かかった。私が入場した際、列にまだ残っていた…
今さらながら高輪ゲートウェイについて考えてみた。 もともと仮称は品川新駅だった。そこから公募され、六万を越す応募の中、高輪ゲートウェイは三六票、一三〇位。一位は高輪、約八千票、二位は芝浦、約四千票。三位は芝浜、約三五〇〇票。 一三〇位っての…
眼鏡は顔の一部じゃない。 品川駅は品川区じゃない。 目黒駅も目黒区じゃない。 愛はおしゃれじゃない。 君が幽霊だとしても大したことじゃない。 子どもはずっと子どもじゃない。 空気も水もタダじゃない。 ブックオフで流れてる曲みたい。 やることなすこ…
本を読むのが好きなわけではなかったんだな、と最近よく思う。 ビブリオマニアという言葉があって、本に囲まれて生活していたい、稀少な本を手に入れたい、というような「モノとしての本」好きを指すが、これにも当たらんなとひしひし思う。 情報源の一つ、…