Nu blog

いつも考えていること

詩二篇「電車に関する」

○通勤


乗り換えるために走るあの人も

夜はゆっくり寝たのだろうか

眠れぬ夜を数え

電車に飛び乗る日々だとすれば……


満員電車で扉付近に身を固めるこの人も

昨夜の満月を眺めただろうか

一日顔を下に向け

ブルーライトに照らされる日々だとすれば……


人間

うまくやれてるのかな

誰も褒めてくれない朝も

愛しんでいいのかな


地下鉄が停まる

発車の信号を待つ

あの人もこの人も今

トンネルの中にいる

 

○東京駅


新幹線、山手線に中央線

東海道本線京浜東北線

幾本もの線路が走る東京駅は

繊維の詰まった筋肉のよう

上腕二頭筋のよう

次々と来る電車から

スーツやヒールがぞろぞろぞろ

キャリーバッグがころころころ

筋肉に押し出される血液のよう

あっちへずらり

こっちへずらり

列をなす

私は地図の前に突っ立って

人の動きを邪魔してる

血栓だとかそんなもののよう


次はどこ行き

ダイヤが乱れた

駆け込み乗車は

やめてくれとか

ひっきりなしの

アナウンス


どこへゆこうか

どの線に乗るか

家に帰るか

上野へゆくか

誰かのことを

見送りたいし

誰かにそっと

見送られたい


今日の天気は……?

ビルの間に

見える青空

手元だけ見て

行き交う人たち

スーツやヒール

ぞろぞろぞろ

キャリーバッグ

ころころころ