Nu blog

いつも考えていること

BTS『Dynamite』他

音楽番組でBTSを見て感動した。いまさら『Dynamite』を知りまして。

「今夜 僕は星の中にいるから、僕の火花でこの夜を明るく照らすのを見守って」

「僕はダイヤモンド 僕の輝きは既知のこと」

「ファンクとソウルでこの都市を灯す 煌めかせるよ ダイナマイトのように」

と現実には電気の消えた街並みをテレビからYouTubeから輝かせようとしてくれる。これぞアイドル、すばらしい。

音はファンキーでソウルフル、七人の特徴ある声がそれぞれのパートを「煌めかせ」ているから、何度聴いても飽きがこない。楽しい気分にはもちろん、少し疲れた時にも元気をくれるし、悲しい時にも寄り添ってくれる全方位的楽曲で、ほんといまさらで恐縮ですが、今年の一曲なわけです(個人的には柴田聡子の『変な島』他や、カネコアヤノとKID FRESINOの『Cats & Dogs』、あるいは藤井風も忘れてはならないのですが、世界的にはどう考えてもBTS)。

 

一方、同じ音楽番組でNiziUが『Step and a step』という新曲を歌っていたのですが、これはあまりいい印象を持たなかった。

自分のペースでやっていけばいいんだよ、というメッセージを伝えたいのはわかるが、その結果「Everything wii be fine」「Everything will be okay」と繰り返されるのは、この打ちひしがれた世界において、時期尚早ではないかと思う。全然「Everything wii be fine」じゃない人がたくさんいて、その人に「自分のペースでやっていけば大丈夫だよ」って言われましても、コロナのせいで自分のペースめちゃくちゃ乱されてるんですけど!? ってなる。

そもそも「Everything wii be fine」「Everything wii be okay」と言えるのは、それなりにいろいろあった後だと思うのだ。まだ船出したばかりのNIziUにその歌詞は早くないだろうか。なぜこんな曲を歌わせたのだろう。

前作「Make you happy」はアイドルとしてのコンセプトを明確にしたキテレツソングとして、割と素直に受け止められた。「あ〜もう! 笑ってほしい」ってどうした、いきなり。「もう ねぇねぇ 何見て 何聴いて幸せ? 話してみて すべてね」ってそんな聞かれましても。

そんな押し付けがましさがおかしみを持っており、おじさん笑っちゃうしかないデスヨ、という感想で、とにかくまあ微笑ましくもあったわけです。よくわからん振り付けのダンスもおもしろかった。

 

んで、TWICE先輩は「君だからBETTER」とか歌ってて、もしかして「お前でまだマシだったわ」って意味だろうか、ちょっと怖い。さらに「You make me feel special」とか、NiziUと正反対(I just wannna make you happy)のことも歌っていて笑っちゃう。あなたが私を特別にしてくれる! って、なんだかなあ。この対幻想的恋愛至上主義的価値観が高校生〜大学生あたりに受け入れられてるのかもしれませんが、ちょっと古臭すぎやしませんかね。TWICEを見ていると西野カナ不在の穴を埋めただけのように見えてしまいます。

 

今年は音楽業界としてもライブができない一年となり、厳しいことが多かったと思われます。YouTube等インターネット配信が発進の主流となったことにより、受け手としては新たな方法により演奏に触れる機会が増えたわけですが、それはミュージシャン側の労働力を搾取した上で成り立っている側面も少なくないわけです。

再生回数を増やす動画が再生回数を伸ばす一方で、人々に見られない動画はちっとも見られないままジリ貧。その上、なるべく公式の動画を見たいと思っても、わけわからん非公式な、音質も画質も悪い動画に引っかかってしまう。そっちの方が数万回再生とかあって、検索した時に上位に出てしまったりする。

すべて非公式なものを排除せよ、というのは無理なので、いかにそいつらに金が渡らないようにするのかが重要に思います(YouTubeの審査基準を詳細には存じ上げませんので、具体的対策などは申し上げられないですが…)。

私たちにできるささやかなことは、ミュージシャンにきちんとお金が入るところへお金を落とすことでしょう。

作品に接するにあたって、受け手側が倫理感、つまり「この媒体で聞く意味、価値、お金の流れ(ミュージシャンの活動支援にちゃんと資することができるのか)」といった判断基準を持つ必要があります。

お金を払う場合、開示されている資料や情報にさらっと触れておく。無料の媒体であっても、そのことを意識して、なるべく公式サイトを選ぶ。そんな行為が必要になっていくわけです。

悪貨は良貨を駆逐する。完全には無理でも、少し意識して活動することで何かが変わると信じていたい。そんなことをひしひしと感じた一年でした。