Nu blog

いつも考えていること

サカナクション「忘れられないの」

サカナクションが新しく出したアルバムが良い。というか、その中の新曲「忘れられないの」が良い。
80年代音楽番組風のMVに表されるように、音も80年代を意識したムーディな作り。「新宝島」の時から、懐メロ的歌謡曲への目配せというか、アップデートというか、素材として遊ぶみたいなところへの意識があったから、この音自体をサカナクションの新しい方向性とかは思わないが、それにしたってまっすぐ、素直に伸びた素敵な曲である。
 
サカナクションアジカンは、ー愛聴してきたわけではないが…ー、きっちり売れた上で、消費されないバンド活動を続けているという点で、すごいと思う。大きく燃焼して燃え尽きたり、流行に乗り続ける自転車操業のようなことにならないよう、バンドメンバーがまとまり続けている。それを会社経営などに例えてみれば、新しい商品を出しては飽きられるのではなく、ロングヒットを改良していくようなもので、こと芸能やポップスの世界においてそれは極端に難しい。
いくらかの芸能人がドラッグに嵌り、多くのバンドが解散し、訴訟を起こしあったり、再結成で細々と儲けたりしている。そういう問題を起こす人たちが目立つだけだと言われればそれまでだが、サカナクションアジカンのセルフブランディングないしはセルフコントロールは際立って優秀であろう。
 
近年のフェスブームに対しても極めて冷静に、その弊害や問題点を指摘しつつ、その良い面にも目を向け、ヘッドライナーを務める山口一郎である。
これからの音楽作りにも、大きな爆発ではなく、確実に楽しませてくれる安定感を期待したい。