マア嘘なんでしょうが、中島らもの「明るい悩み相談室」の中の一つに、子供としりとりをしていると「パングリコ」という謎の言葉が出てきてしまって困るというお悩みがあった。
対して中島らもは「パングリコっ!」と自信満々に叫ぶとともに、その意味を問われたら「大人になればわかります」などと答えれば良い。大人になって、子供たちが「パングリコ」を覚えていたら、その時真相を教える。この手の嘘を「十年おとしのウソ」といって、子育ての楽しみの一つだ、なんて適当なことを答えているのがある。
先日酔い覚ましにラムネを食べていたら上司からそのラムネと飲むラムネは関係性のあるものなのか、と問われた。親戚でしょうなどと真顔で答えても呆れられてしまうので、思わず
「お菓子のラムネは飲み物のラムネを固めたもので、飲み物のラムネはお菓子のラムネを溶かしたものですよ」
としたり顔で答えてしまった。
すると上司が「ふーん」なんて言うもんだから「あ、嘘です」と慌てて訂正しないといけなくなった。
そのままにしておいて万が一「何? 先方がラムネを飲みたいとおっしゃっているのに近隣では売っていないだと?」などというシチュエーションに陥った際、我が上司がしたり顔で「であれば、コンビニでお菓子のラムネを買って来ますよ!」などと走り出してしまうかもしれない。
そうなったら私はもうそっと辞表を置いて姿をくらまさざるを得ないではないか。
大人に対して「十年おとしのウソ」をついてはいかんのである。
大人には十年も先はないのだ。