Nu blog

いつも考えていること

グリーンブック

黒人のインテリ天才ピアニストと白人のガサツな用心棒兼ドライバーが黒人差別の根強いアメリカ南部を旅するお話。

 


車の色、ドン・シャーリーの服装、画面の色味が可愛らしい。

そして上質なコメディである。

ピザを半分に折って食べたり、フライドチキンの骨を車の窓から捨てたり、盗んだ(拾った?)石を返す返さないで口喧嘩したり、ロマンチックな手紙を代筆してもらったり。

思い出して笑いの溢れるエピソードである。

 


しかしもちろん、シリアスな展開もある。

バーに入っただけで殴られたり、夜出歩いているだけで警察に捕まったり、農地を耕す黒人たちにジッと見つめられたり、その日コンサートをするレストランでの食事を断られたり…。

 


ドン・シャーリーは「インテリで、金持ちで、使われる側ではなく使う側の黒人」という「黒人でもなく白人でもない」数少ない立場にいる。

自分は何者なのか、どう生きれば良いのかと雨の中叫ぶシーンはとても悲しい。

白人のように振る舞う姿よりも、黒人を理由に差別されている瞬間の方が、安心しているような気にさえなる。

 


綺麗な画面、上質な脚本で、満足度の高い映画だった。

ちょっと思ったのは、最後「メリークリスマス」って言っとけばなんか解決した感じになるよね、ってことくらい。

 


そういえば上映前に、「ビリーブ」という映画の予告があって、「たった五十年前まで、アメリカには女性差別があった!」とか言っていて、一体どの立場からそんなこと言ってんだろうか、と度肝を抜かれた。五十年前の日本をどう思ってんだろう?あるいは今の日本は?