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いつも考えていること

Bリーグ他スポーツの未来

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Bリーグ、渋谷サンロッカーズ栃木ブレックス@墨田区総合体育館を観た。

バスケと言えば田臥しか思い浮かばないので、栃木ブレックスをチョイス。200㎝級の巨大な選手がたくさんいる中で、173㎝という身長が目を引き、巨人の隙間を縫うように走り抜ける田臥選手。カッコよかったです。ウィキペディアによると靴のサイズが29㎝らしい。

しかしながら、昨年の覇者・栃木ブレックスの調子は振るっていない様子。立ち上がりこそリードを奪ったものの、あっさりと逆転を許してからは終始10点差以上つけられる展開だった。シーズンを通せばいろんな試合があるとは思うけど、ちょっと残念。

狭いコートを文字通り所狭しと大きな人たちが走り回る。相撲好きの私としては、大きな人たちが躍動する様を観られることだけで嬉しいのである。もちろん球技の楽しみも存分に持ち合わせている。今は誰もいないところへ、そこに味方が来ることを信じてパスが放り込まれ、ばっちりはまった時の快感、ひときわ大きな歓声。シュートが放たれると全員が顔を上げ、その軌道を見守る。リバウンドのタイミングをはかる選手たち、時が止まるような感覚。きゅきゅっと鳴る靴音。デジタル時計が24秒を測り続ける。1秒ごとに何をするか、選択を迫られる感覚。時間制限が緊張感を高めているのが面白い。

 

と、いうように競技の魅力は味わえた。

しかし、ひとつ気になったことは運営の規模感。ミッドウィークでの開催だったから例外だったのかもしれないが、観客数は3,000人。その3,000人の観客数に対してビール売り場が一つだけで、長蛇の列となっていた。夜の開催ということで、野球場のように何かご飯が売っているかと思ったが、ビールと一緒に点心、その他ポテチや柿ピー、ベビースター等が売っている程度。そもそも食べながら観る文化じゃないのかとも思ったが、そんな程度でも飲食物が売られているのだからやっぱり観戦中の飲食は禁じられていないんだろうと思うわけで。とはいえ、会場はただの体育館。専用スタジアムではないから、仕方がないのだろう。 

昨年から始まったBリーグ、これまでNBLbjリーグに分かれていたバスケのトップリーグが統合されたものであるから、会場、演出、物販、そういったすべてがどこまでプロ仕様となっているのかというのにも興味があったので、あまり整備されていない印象を受けてしまった。

もともと実業団チームが主体だったバスケの世界である*1。「プロですよ、はい、どうぞお願いします」では何もうまくいかないのが興行の世界だ。

たとえば同じように実業団が主体であったラグビーは現在のトップリーグを発足する時、完全なプロに移行せず、選手の登録条件を「当該チームの親企業等との間に雇用・嘱託の契約関係があること」とし、会社員選手の存在する余地を残した。また、「リーグ戦の興行権もチームでなく協会が保持しており、クラブの別法人化も要求されていない」ため、BリーグやJリーグのようにホーム・アウェイを持たない方式になっている*2。それによって、現在トップリーグで活躍しているチームはどれも実業団チームがもととなっており、トップリーグ移行期にチームが廃止されるような事態は避けられた。しかし、もしもその時完全なプロへ移行していたら、チームが運営主体となって経営収支を安定化させなければならず、現在の観客数ではなかなか厳しいものがあっただろうと思う。そして、業績不振が続けばそのチームは廃止せざるを得なくなる*3。しかしながら、Bリーグはすでにプロへ移行してしまった。今後、各チームがどのように運営していくのか、ハラハラドキドキだ。もちろん発展を祈っていて、いつかバスケ専用の会場ができたらいいのにな、と思う。

などとスポーツの運営について興味が湧いたので、余計なお世話で、いろんなスポーツの観客数を調べてみた。

  • 大相撲

本拠地(?)国技館は約11,000人収容できる。人気の低迷していた頃はここに5,000人台しか入らなかったこともあるそうだが、現在は年90日間開催される本場所、連日の満員御礼。

運営主体は日本相撲協会。選手育成については各部屋の裁量となっており、それぞれタニマチ、支援者からの支援等ももらいながら、地域に根付いて活動している。チケットの裁きは各部屋の後援者分もあるだろうし、有名な「お茶屋さん」がお得意さんに回すものもある。そうした固定層を確保していることがかなりの強みである。

ちなみに、全国を回る巡業は勧進元を募り、開催している。収支は勧進元持ち。相撲協会は手を動かさず契約金が入る仕組み。2016年であれば75日も巡業があったから、2005年の15日から比べれば、ずいぶんと儲かったというわけだ。

公益法人相撲協会、利害関係者の多さは国内でもトップレベルのスポーツ運営主体だろう。赤字だけは避けて、儲かった分は相撲という競技が未来に向かって発展するよう投資してほしい。

  • 野球 

野球は1試合平均29,300人。年間143試合(多い!)やっているわけだから、総動員数は凄まじい。パ・リーグセ・リーグで観客数に格差があるかと思いきや、阪神と巨人が飛び抜けている他はさほどの差はない様子。そもそもスタジアムの収容人数がどこであっても3万人以上。それで採算がとれる。なんという強力なコンテンツ力…。全国各地で開催されていることも強みの一つ。なんとなく観に行ける。そういう間口の広さもあるし、物販も充実もしてるから、飲んだり食ったりお祭り気分が味わえる。テレビ放映が減ってお茶の間での存在感は薄れた感もあるが、だからこそ球場へ足を運ぶ価値が出たのかもしれない。

  • サッカー 

調べたところサッカーJリーグは2017前半戦で、1試合平均約19,000人。しかし浦和レッズは約36,000人、FC東京で約27,000人と人気チームの動員はプロ野球に匹敵する。しかし、年間約30試合(+決勝トーナメント)と野球に比べ1/4の試合数。少ない。しかし、地元密着型スポーツの先駆けでもあり、サポーターたちの熱心な応援がこれからも支えていくのでしょう、か。

本文でも触れたが、ラグビートップリーグについて。2016-2017は開催平均5,000人。少ない…。秩父宮ラグビー場は最大で25,000人収容できるらしいが、いつも1/5しか埋まってないということである。だから、あんなにがらがらなのか。早慶戦なんかだとスタンドが埋め尽くされるが、窮屈でたまらないので、あれくらい余裕が好きではあるのですが。

試合数は15試合程度と、サッカーのさらに半分! 身体の接触が激しいスポーツのため、試合と試合のインターバルを少なくとも一週間程度みなければならないから仕方がない。やっぱり独立採算制は難しいのでは…。

  • ゴルフ

毎週末やっていて、ぞろぞろと人気選手の後ろにギャラリーがついていくイメージのゴルフ。年間の試合数は男子24、女子37とのこと。1試合3日、4日やるのだから、野球並みの日数である。観客数は男子35万弱、女子53万超。1ラウンドあたり平均4,000人と聞くとかなりいるなという印象。実際に行ったことがないのでイメージが湧かない。どんな感じなのだろう。観戦するのしんどそう。

  • 卓球

なんと、調べるまで知らなかったが、Tリーグなるプロリーグの設立がちょうど動き始めているとのこと。2018年秋開催を目指しているらしい。お手本はJリーグBリーグとのこと。これは一度観に行ってみたい。年間試合数は20試合程度想定らしいが、サッカーやラグビーと違って、大きなフィールドを必要としない=会場確保の難易度が高くなく、選手が10人、15人も必要ないので、案外収益が取りやすそうな気がする。ダイナミックな競技でもあるので、見応えもありそう。現在は全日本選手権など大きな大会しかないため、観客数等々見つからなかったが、これからに期待。

  • バレーボール

そもそも1967年から実業団リーグがある、歴史長きバレーボール。2006年からVリーグとしてプロ化した。とはいえ、まだまだ実業団チームが多いみたいで、ホーム・アウェー方式を採用せず、トップリーグのような形のよう。観客数も2〜3,000人程度みたい。調べてたら2018年からJリーグのような形式になるとのこと。素人の意見ですが、バレーボールもラグビー同様実業団でいい気がする…。

浅田真央羽生結弦など、国民的人気となる選手が出てくるフィギュアスケート。2013年、2014年あたりでは1万人越えもあったみたいで、すごいものである。しかし、我々が見るフィギュアスケートは大抵が五輪や世界選手権などに向けたコンペティションであって、興行ではない。選手らはスポンサー企業との契約でもって生活していくしかない。チームなどない個人競技の辛いところ…。

 

これから日本は人口が減少していく一方。ということは、観客数の母数が少なくなるわけだから、各競技、今のままの観客数は保てなくなるかもしれないし、そもそも選手層が薄くなることも考えないといけない。観客が減り選手が少なくなれば、当然縮小せざるを得ない。プロが縮小すると、自ずから競技人口そのものも減る。悪循環が始まる。どうやって各競技を魅力的に生かしていくか、延命は必要ない。サバイブするためのそれぞれの進化は楽しみでもある。

マクロではどうにもならないことだが、ミクロ、つまり一人一人にできることは、自分の好きなスポーツに対しての愛情表現を惜しまないこと。私一人が観戦に足を運ぶことは、集計すれば観客数のうちの「1」でしかないが、統計的に見れば、行く人の割合を零コンマ何パーセントか押し上げるわけで、その零コンマ何パーセントの持つ威力は侮れないはずだ(と思いたい)。統計的1人は1人でなく、何十人、何百人にもなる。私の観戦は「統計的百人」であると信じて。

*1:参照:Bリーグとはどんなバスケリーグなのか。創設の歴史や観客動員数についても紹介。 - ゴトーのブログ

*2:参照:ラグビー界を支えた"iモード"と、2019年以降の懸念。提供すべきその先の「夢」 | VICTORY

*3:10/19付の各紙報道によれば、2019年のラグビーW杯後のトップリーグの在り方として、2020年から地域密着型の新リーグへ移行することが検討されているそうだ。つまり、チームが運営主体となり、独立採算制をとることとなる。大丈夫だろうか。現時点の動員数のままではうまくいくとは思い難い