若い男の子が可愛らしくて仕方がない。
先日二十五歳の後輩社員と飲んだ。前日いきなりメールしてきて「明日飲みましょうよ」なんて送ってくる。この誘い方もまた可愛いんだ。
自分が同い年の頃、そんな可愛いマネできなかった。三〇歳となった今に至っても「また今度飲みに行きましょう」詐欺をすることで、飲み会を回避してる。可愛げがないんですな、私には。
そんなわけで飲みに行ったらニンテンドースイッチを買うか迷ってるだの、最近会った女の子と付き合えそうだの、同窓会で元カノと会うのか気まずいだの、ちょうど四年前によく聞いたような話ばかりだ。人類の進化の歩みはあまりにもゆっくりすぎやしないか、なんて思ってしまった。しかしまあ、いつか来た道を懐かしく愛らしく思えど、まさかバカになんてできるわけない。あれ? いや? 私飲み会でゲームとか女の子の話したことないぞ? 相撲の話しかしてないぞ? というのはさておき。なんというか、そのケタケタ笑いながら話す様、相手のことを信頼して小突く様に見覚えがある、ってなことです。
でもまあ若い時の飲み方で「褒め合う」のはやっぱり嫌いだなあ。とふと思う。
たまにそういうゾーンに入る時あるのよね。「いやいや、お前なかなか男前やで」みたいなやーつ(ハライチ岩井風)。
「あの上司おかしいやろ、ほんまお前ようやってんで」「あの仕事の振り方おかしいやろ、俺やったら耐えられへんわ」
みたいな。おっさんがやってるのもアホらしいが、若者がやっちゃうと一層アホらしい。
ま、そんなアホらしい若者の姿もまた愛らしくある。私は褒め合う暇もない、三〇歳なのである。
店を出てからも「終電までにパパッと牛丼食おうぜ」なんて肩を抱き合ってる姿を見ちゃうと爛漫だなあ、傲慢だなあと羨ましくなって、思わずおっさんは男の子に千円札を渡して「これで食べといで」と言ってしまいました。「ごちそうさんっす!」とか言う声を背に帰って…、ああ、気恥ずかしうて、たまらない。