何年かぶりに風邪を引いた。微熱、腹下し。コロナも気になったが、受診したら「風邪やね」ということで、薬を飲んだらすぐ楽になった。よかった。まだ病み上がりで、どことなく本調子ではない感じに、年齢を感じる。子供の頃なら、風邪の翌日も走り回ってたような気がするのだけど。
というわけで、風邪を引く前のことを徒然に。
・ボテロ展@渋谷
現実にはありえないほど、丸々と大きく描かれたオレンジ、楽器、人間、花々。色彩豊かに、そして大画面いっぱいに描かれたそれを見ていると、心が歓びでいっぱいになり、吸い込まれて自分も丸々大きくなってしまいそう。
あまり人々の関心を呼んでいないようだけど、こんなに豊かな芸術体験もなかなかないと思う。
・ハリー・スタイルズ「ハリーズ・ハウス」
話題の新譜。めっちゃよい。
As it wasやcinemaの80's感、GrapejuiceやDaylight、Matilda、Boyfriendのしっとりした雰囲気、どれも聴かせてくる。一番好きなのはDaydream。このtahiti 80感は痺れる。好きなノリだ。
ファーストテイクにも出演し、日本でのリスナーが増えるかと思いきや、さほど?
ついでにワンダイレクションを聴いたら、懐かしくて、でも数年前のことなのに……(おっさん……)。
・小原晩「ここで唐揚げ弁当を食べないでください」
Twitterで見て気になっていたのだけれど、下北沢のB&Bで見つけたので買った。エッセイ。一昔前にコピーライターたちが書いていたような、おとぼけみのある文章が楽しい。こういうエッセイを、もっと身近に読みたいもんです。
・山之口貘詩集
沁みる。なぜかこの一篇が気になった。
若しも女を掴んだら
若しも女を掴んだら
丸ビルの屋上や煙突のてつぺんのやうな高い位置によぢのぼつて
大聲を張りあげたいのである
つかんだ
つかんだ
つかんだあ と張りあげたいのである
掴んだ女がくたばるまで打ち振つて
街の横づらめがけて投げつけたいのである
僕にも女が掴めるのであるといふ
たつたそれだけの
人並のことではあるのだが
この暴力的な気持ちを「たつたそれだけ」「人並のこと」と言うのは、現代的な感覚・倫理から見れば、ずいぶん乖離していて「なんだか素朴で笑えるね」なんてことは言えない。
しかし、むしろ、不思議に、なにか、山之口貘という人を、どうしてだろうか、きっとご本人は暴力的ではなく、もう、何もできないような、弱い人なのではないかと、思う。そうは思わないか?
もっと良い詩はあるのだけれど、これがとても気になったのだ。
・余談
吉祥寺の「一日」という古本屋でハイロウズの「ツイスト」が鳴っていて、もう十年以上ぶりに聴いて、嬉しかった。高校生から大学生にかけて、ずっとハイロウズを聴いていた。