○Anywhere
抜け目なく生きる人ほど
損したことを見つけられて
悔しい思いをたくさんする。
ぼんやりと生きていれば
損したことにさえ気づけずに
そんなもんかと笑ってられる。
抜け目なく生きる人が
臍を噛んでいたとしても
ぼんやりと生きている人も
知らず知らず臍の少し下あたりに
嫌な思いが溜まっていくので
どっちにしたって
辛いんですが。
私の朗らかさは
皆さんの朗らかさと
ずいぶん違うようで
私は皆さんの言う朗らかさを
いつのまにかどこかへ置いてきたのでしょう。
あの日混雑していたデパートとか
無心に屋台を眺めた祭りの日とか
あるいは集中できたあの時の試験とか
なんかそんなようなところかしらん。
永遠に続く遠近法。
失われた消失点。
点とは
位置であり
部分を持たない
そうです
か
。
○住むところ
諸般の事情により
転居の要に迫られ
すぐに越さなきゃならないと
東京中を走り回って
冷や汗で
シャツびとびと
お江戸
東京
武蔵野の台地
どこへ住む?
ひしめく
ひとひと
ぎゅうぎゅう
ぎゅうぎゅう
ぎゅうぎゅう
あ
わたし
このお家賃
払えるかしら
みんな
家賃を
払ってる
そのための
賃労働
たまには
おいしいもの
食べたり
しようね