Nu blog

いつも考えていること

スケッチ(散歩)

目黒駅を降りると、目の前に空が広がっていたから、こいつはどうしたことかと慌てたら、下り坂が遠くまで続いていて、つまりここがてっぺん、丘の上だからこんなに空が近いのだと気づいた。

坂に沿って茶屋が並び、人の往来でかしましく、気持ちが良かった。私は線路を跨いで、差し詰め丘陵といえるのか、なだらかなアップダウンを歩いた。宮家とそのお庭など、自然連なる道である。風が吹いて木々がさらさらと音を立てるのを聞き、疲れが吹き飛んだ。地面を照らす木漏れ日の揺らぎを目にし、心明るくした。

北へ向かう丘陵がイチョウ並木の美しい大きな道と交わったので、私はイチョウ並木をくぐり抜けるように東へと進んだ。目黒駅前とは違い、人通りは少なく、静かな道だった。大きな道路を走る車はなく、落ちた葉はそのままで、時折風に舞いあがられてはまた同じところは戻っていった。

下り坂、そして上り坂と歩を進めるとまた店と人が増えてきた。私はその一軒に入り、少しアルコールをいただいた。胃にポッと火が灯った。歯応えの良い、太いウィンナーを歯で齧り、ポキッと小気味の良い音を楽しんだ。肉の旨味を存分に味わいながらアルコールをぽつぽつ飲んだ。

店を出るとまだ夕方だった。来た道を引き返すのも侘しいから、私は南へと向かった。川へ当たれば、また方向を考えようと思った。