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izumishiyou’s diary

いつも考えていること

鑑賞するための戦い―モエレ沼、水の教会の感想とその他

モエレ沼公園に行った。

moerenumapark.jp

ただの公園ではない。イサム・ノグチという彫刻家が「地球を彫刻」した結果がこの公園なのである。

 

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自転車を借りて、2時間走り回った。

青空、白い雲が広がり、緑に囲まれる。草が揺られ、風が目に見えた。

山があり、ビーチがあり、遊具もある。家族連れが、カップルが、部活帰りの学生が、みんなが笑顔で遊んでいる。こんな気持ちいい公園に、すぐアクセスできるところに住みたいと思った(調べたら、一つあったけど売約済みだった…)。

 

こうした自然を素材とした芸術を「ランド・アート」と呼ぶ。

ランド・アート - Wikipedia

ランド・アートの魅力は、「美術館」に収まらないことだろう。白い壁に囲まれ、額縁や台座に行儀よく置かれた絵画や彫刻を「美術」だと思い込んでいる自分に対して、美術ってそんな楽なもんじゃないでしょう? と突き付けてくれる。

作る人だけが苦労するのではなく、観る側にも「鑑賞する」ための戦いを要求してくる。

まあ、美術館にある作品を鑑賞するのにも、その価値、その意味を理解するためには「鑑賞する」ための努力が必要なのだけれど。 

 

モエレ沼は比較的アクセスしやすいランド・アートだ。

いつか行きたいと思っているところにはこんなところもある。

 

・ロバート・スミッソン「スパイラル・ジェッティ」アメリカ、ソルトレイクシティ

塩の湖に渦巻きを描いたものである。

ソルトレイクシティから来るまで2時間30分ほど。水位が変わるとみられないこともあるので、事前の確認が必要。ハードルの高い場所だ…。

 

・ウォルター・デ・マリア「ライトニング・フィールド」アメリカ、ニューメキシコ

400本のポールが立てられており、雷が落ちる瞬間を観る作品。

落雷が起きるかどうかは無論、自然のことだから、誰にも分らない。そのため、作者は24時間以上の滞在を求め、下記の場所に宿泊施設がある。つまり、下記グーグル・マップの場所は宿泊施設の場所で、作品はここから45分、車で行ったところにあると言う。

なお、宿泊施設まではアルバカーキ国際空港からケマードという街まで3時間。ケマードに2時までに着いていないといけないらしく、空港で一泊する必要があるかもしれない。

アルバカーキ空港まで、成田から経由を挟み15~17時間かかるので、目的地まで2、3日はかかるのかと思うと遠い…。しかし、行きたいなあ。

 

荒川修作養老天命反転地」日本、岐阜県

モエレ沼同様公園のような作品である。

名古屋から1時間、岐阜から40分程度のようなので、上記2作品より圧倒的にアクセスしやすい。

道がえらいことになっていて、怪我する人も少なくないらしい。なんて、楽しそうなんだ…。

養老天命反転地 | 施設案内・マップ | 養老公園

 

 

このたびはトマムにも行った。

トマムには、流行りの星野リゾートのホテルがある。

www.snowtomamu.jp

ここの名物は「雲海」なのだが、あいにく天候不良のため、朝4時に起きたのだけれど、観られなかった。悔しい。

しかし、もう一つの名所・「水の教会」を観られた。

水の教会 | Chapel on the water

 

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1日2回、夜の20時30分と、朝の6時30分から、それぞれ1時間ずつだけ公開されるので、気を付けないと見逃してしまう。

安藤忠雄建築らしさを感じる教会だ。

L字型の壁を伝い、壁の向こうへ抜けると、水辺とそこに浮くようにある教会が現れる。憎らしい演出、どうしたって心揺らされる。

教会の中へと続く階段も、上がり下りが続き、自分がどこにいるのか、どこへ行こうとしているのかを思い、心を落ち着かせられる。

 

荘厳なのだけれど、また観光地である側面は否定できない。

十時の壁が十分おき程度に開いたり、閉まったりするのだけれど、その度にアメイジング・グレースが流れたり、なんとなく白ける*1。教会内もざわざわしていて、あまり嬉しくない。

教会ではないんだなあと思ってしまう気持ちが湧いて、少しだけ、ほんの少しだけ残念。

いやしかし、良いところなのは間違いなく、ぜひ行ってみてほしい。 

安藤忠雄の教会建築にはその他、兵庫の六甲山にある「風の教会」、大阪・茨木にある「光の教会」、東京・広尾にある「21世紀キリスト教会」がある。

昨年の六甲ミーツ・アートの中で「風の教会」が見学できる幸運に恵まれ、訪れた。そのほかの二つにもいつか行きたいと思っている。

 

安藤忠雄の教会だけでなく、芸術家による教会は他にもある。ランド・アート同様いずれ行ってみたいと思う。全部フランスなのは偶然で、フランスに芸術家による教会建築が多いことに何か理由があるのかぼくは知らない。

 

ル・コルビュジェ「ロンシャンの教会」フランス、ロンシャン

国立西洋美術館等が世界遺産に登録されたことでつい最近話題になったル・コルビュジェの作った教会。一度見たら忘れらない特徴的なフォルム。

 

藤田嗣治「シャペル・フジタ」フランス、ランス

 藤田嗣治は戦後、フランスに帰化し、カトリック教徒として晩年を過ごした。

その過程には第二次世界大戦に協力した責任に関すること等一口では語れないものがあったことはご存知かと思う。

その藤田がフランスに作った最後の大作がこの教会だ。フレスコ画、レリーフ、ステンドグラスまで、すべて藤田の作品による教会。一歩踏み入れた時、どんな気持ちになるだろうか?

シャルル・ド・ゴール空港からバス、電車を乗り継ぎ1時間30分、駅から徒歩20分のところにあると言う。

 

マティス「ロザリオ礼拝堂」フランス、コート・ダジュール

シャルル・ド・ゴール空港からコート・ダジュール空港へ行き、空港からは車で30分。

かわいらしいステンドグラス、南仏らしい白いタイル、祭壇も内装も、マティスの手によるものらしい。

祈りの場として今も使われているそうで、もし訪れることがあれば、言葉は分からなくとも、共に祈りをささげてみたいと思う。

  

美術手帖 2014年 06月号 [雑誌]

美術手帖 2014年 06月号 [雑誌]

 

まだまだ、行ってみたいところがたくさんある。

アクセスする努力がすでに芸術鑑賞の一部、なのだろうと思う。

*1:まあ、でも黙って開いたり、閉まったりしても怖いか