2022-02-23 短文 お父さんがこの前、聞いてた音楽。 風邪が治った日の、朝。 水を飲んで、お風呂に入る。 まだ十五年しか生きてない私にも、よく分かる、あの感覚。 「お父さん、あの風邪の歌、良いよね」 お父さんは、あれは私の生まれる前、新型コロナウイルスというものが世界中を覆った時の歌なのだ、と、言った。 少し体調が悪いと、それに罹ったんじゃないかと、憂い、慌てるような、そんな日々のこと。 「そろそろ、新しいウイルスが、現れるよ、きっと」 お父さんはマスクの箱を潰しながら言う。