引越しをする。
六年前に引っ越した時もまずは本の整理からだった。
あの時は二百冊くらい売ったんじゃないか。そのあと実家に置いてた絵本や雑誌などを持ってきたから、結局総数は減らなかった。
それから毎年百冊くらい売っている。その上、年々買う冊数は減っている(はず)。
なのに、なぜか本棚に空きがない。常に満席。不思議でならない。
今回も二百冊売った。信頼できる古本屋さんがあるからそこに持っていった。計三十キロ以上。六千円くらいになった。その六千円を元手に、詩集を四冊買った。一九六冊、減ったわけだ。
なのに本棚に空きがない。
目を疑う光景だ。
勝手に繁殖してるのか? と思ったが、タンスに眠ってた本が表に出て本棚を賑わしているだけである。
もう! なんでこうなるんだよ! 思わず叫ぶ。
一方、服や靴の整理は瞬殺だ。なんせ着ている分しか持ってない。着てないもの、履いてないものはすぐ捨てる。
どうして本でそれができないのか。結構やってるつもりなんですけどね。いつまでも『ふしぎなごひゃくのぼうし』が残るんです。1960年の本が、ずっと!
ちなみに、二百冊が化けた四冊のうちの一冊は八木幹夫『秋の雨の日の一方的な会話』。
トイレからもどってくると
女房がいった
「生きていると おしっこばかり出るみたい」
ベッドから飛びあがってぼくは同感した
ぼくはこのごろ
ぼくのことを語り出そうという
勇気が少し持てるようになった
という一節が目に入ってきたので買った。なんで? と言われても困る。