さて、今年も六甲ミーツアートに行ってきました。開催して間もない9月中旬のこと。台風の過ぎ去ったその日だったからか人が少なく、そして暑かった。
今年で12回目の開催。すごいことだ。こうやって長く続けられたのは、単に運営サイドの努力であって、毎回少しずつ変化して私たちを楽しませてくれているからだということはわかっている。感謝しかない。
そもそも六甲山という場所は、レジャーのために開発されてきた。自然を改変して作った場所である。だから、変化し続ける。自然を、人に、合わせて変える。これがレジャー空間・六甲山の使命だから。小さな変化が積もって、いつの間にか大きく変容していることに気づく。
何が言いたいのか。
カンツリーハウスがアスレチック施設・グリーニアになり、六甲ミーツアートの会場から外れたのだ。大きなショックを受けた。たくさんの名作を生み出してきたあの急斜面も、あの湖も、失われた。今や立派な商業施設。安全な冒険を楽しむ場になった。
カンツリーハウス内にあった、毎年開発好明さんの未来郵便局が開催されていたあの不思議な建物もほぼ壊され、今回においては「旧パルナッソスの休憩小屋」というタイトルの場所にされていた。これにもかなりダメージを食らった。あの建物に入るのが、実は毎年の楽しみだった。何があるわけでもなかったが、入り口前にあったステンドグラスのような飾りガラスだとか、奥に見える厨房だとか、その役目を終えつつも皆から愛されている雰囲気がすごく好きだった。いつだったかしりあがり寿が展示をやっていた回もあった。調べてみたら、カンツリーグリルという場所だったらしい。本当に好きな場所だった。こういうことを書いていると、失われたことが悲しくって泣きそうになる。
そんな商業施設のオープンに伴ってか、オルゴールミュージアムもROKKO森の音ミュージアムという施設にリニューアル。内装はあんまり変わっていなかったが、お庭部分がやけに小綺麗になっていた。どうやらスノーピークとの提携がなされているよう。あの足元がぐちゃぐちゃな感じがよかったのに、なんて言うのはさすがに懐古趣味が先走りすぎか。そんなことより、六甲高山植物園への通り抜けができなくなっていたことの方が改悪なので、ぜひ次回は通り抜けできるようにしておいてほしい。
先ほどからまったく作品に関する感想がない。これはよくない。六甲山に漂う「小汚い感じ」を気に入ってたなんて言ってもしょうがないことなのだ。初回を覆っていた手作り感から、資本の場へ。発展とはそういうもの。利用者としての利便性も上がるのなら、悪いことではない、はず。涙。
というわけで、記憶に残っている作品をいくつか。まず、私の第一位はしみずきみこさんの「ひとりオリンピック」。作者一人でオリンピックの各種競技を再現?した写真作品である。各競技の道具なんかを、身近なもので代用しているのが見どころ。作品が目に入った瞬間に、すぐ笑った。躍動的で、発想力と行動力豊か、そして社会批評的な目線を存分に内包した作品。
風の教会エリアに展示されていた大木土木と…の作品も素敵。なんだこれはと思って鑑賞ゾーンへ行くと、のし紙。意味わからないだろうけど。風の教会内の束芋もよかった。
ああ、あと、記念碑台で鐡羅祐のオオサンショウウオも可愛かった!
カンツリーハウスがなくなった分、コンパクトに回れてしまった。
なんやかんや、来年も行くから。楽しみにしてます。