Nu blog

いつも考えていること

スケッチ(愛校心)

隣の部署にいる後輩が同じ大学だと知ったが、こんなご時世で飲みにも行けない。一緒に校歌でも歌いたいと思ったが、聞いたら校歌を覚えてないらしい。どうも母校愛に差があるようだ。

でも大学時代の友人は後輩の方が多いみたいで、今でも学祭に訪れたりするらしい。私など大学卒業後一度も母校を訪れていない。用事がないのだから当たり前だ。

それでも頭の中に母校の姿はいつでも描ける。たとえば、正門、正門脇の大木、秋になると金木犀の匂い、冬の寒さ、知り合いとかゼミの奴と鉢合わせる瞬間のホッとした感じ。学部棟までの通路、脇にあるゴミ箱、看板に貼られた部員募集のボロボロの貼り紙。学部棟の入り口。二段だけある小さな階段。大教室のひんやりした床、すこしかび臭いにおい、五月窓が開けられ揺れるカーテン、教室の外の通路を歩く人の、不意に飛び込んでくる笑い声、雨の日に傘から垂れる水。食堂の混み具合、チキンバターラーメン。隣の売店で売ってるフローズンアイス。帰り道、一人で歩く下り坂。友人と歩く下り坂。パスタ屋の前のにおい。道にはみ出てくる路上駐車。あの家の前にいつも停められている大型バイク。電柱に貼られた歯医者の広告。

そんなすべてが私の愛校心なのだが、そんなこと後輩には伝えられないのだった…。