Nu blog

いつも考えていること

スケッチ(蔓延)

みんなで手分けしましょうと言ったら上司に睨まれた。いや、それは違うだろ、これはあいつらの仕事だから、俺らはやれないよ。わざわざ冷たく言い放った。打ち合わせの帰り道、お前な、ああいう仲良しごっこみたいなのやめろよ、ちゃんと分担しないと後で痛い目見るぞ、と怒られた。すんませんとは言いつつも、社内のことなのだから、みんなで手分けしたらさっさと終わるのに、と思った。この人は反対の要領で、私たちに仕事を持ってくる。これはうちの仕事だから、と言って無謀な量のデータ作成を押し付けてくる。これだって相手方も痛み分けすればいいのに。そうすればみんな定時で帰れるのに。お互いに押し付けあって、押し付け合う時間も無為に過ぎ去るし、押し付けあった後作業しなければならないし。

全ての上司が多かれ少なかれそうだった。そうじゃない上司はいなかった。仕事を押し付けたり、奪ったりし合って、そして部下に丸投げした。部下は疲弊しながらも、適当に手を抜いて、バレるまで黙っていた。

全てこの国の会社はそうだった。多かれ少なかれそうだった。志ある会社もあっただろうが、人が寄り合い、増えていくとそうなるのだった。だから、生産力は落ちていった。

すべての資本主義国家はそうだった。多かれ少なかれ、あるいは早かれ遅かれそうなった。しかし、資本主義も国も会社も上司も消えなかった。いずれ地球が滅びるまで、それら全ては蔓延るのだった。