Nu blog

いつも考えていること

スケッチ(弱冷房車)

駆け込んで乗り込んだ車両が、弱冷房車だったから、汗が止めどなくあふれて、ワイシャツが腕にぴたりと張りついた。車内はすでに、誰かのシャツから漂う生乾きのにおいが充満していた。車窓から見える、夏の陽に照らされて光る民家。パリパリに乾いた洗濯物、フル稼働で街を熱くする室外機、日傘をさして歩く人。

この雲ひとつない青空の上に宇宙があるとは思えない。

徐々に汗が引き、寒ささえ感じ始めた頃、目的の駅についた私は下車する。突き刺さるような暑さに覆われる。人波に乗って改札口へ歩き出す。生乾きのにおいがかき消えた。というより、うだる暑さににおいもクソも感じられなくなったようだ。

なにもない駅前には陰もない。照らされたアスファルトの上を行く。汗が溢れ出す。なんで地球はこんなことになるんだろうと思う。変な世界だ。変な世界に俺はいる。