Nu blog

いつも考えていること

スケッチ(越境する10シーン)

1.海外へ旅行する。入国手続きのカウンターで、大柄な黒人が無愛想な顔でこちらを睨み、二言三言話すとスタンプを押してくれる。

2.荷物の重そうな人に声をかけたら、じゃあこれを持ってくれないかとその荷物を渡され、階段を登らされる。

3.隣の同僚の資料がこちらの机に迫ってきて、時折崩れてこちらに倒れる。ごめんごめんと謝ってくれるが、きっとそんなに気にしてないのだろうと思う。

4.改札を通ろう定期券をかざしたら、すぐ横の低い柵をジャンプで飛び越えて、誰も追いかける間もなく消えていった。

5.テーマパークに入るその長蛇の列に並び、心躍る音楽を聴きながら笑顔で、列が少しずつ進むのを楽しんでいる。券を取り出し元気なお姉さんに渡すと心から歓迎の意を表してくれる。門をくぐると、そこはもう別の国だ。

6.化学実験室から音楽室へと教室移動をする。ざわざわとそれぞれに連れ立って、私たちのクラスは移動する。この廊下は、どこの教室でもない。

7.隣の家に生えている大きな木が、夏を迎え茂り始めた。わさわさと我が家の屋根へと到達する。屋根に影と、たまに葉を落とす。そろそろ、剪定のお願いしないと。

8.7合目を過ぎた、ここ富士山の山頂は、何県でもない。私たちは今私有地にいる。

9.橋を越えると、市が変わる。今はもう少なくなった公衆電話から電話をかけるなら、市外局番がいるようになる。僕は橋の真ん中に立つ。ここが市の境目。川を真っ二つに裂く、見えない線。

10.ツインベッドで寝る私たち。たまに領域侵犯する私たち。猫もウロウロ。