Nu blog

いつも考えていること

詩(無題(コンビニから出ると…))

コンビニから出るとどこかから音が鳴っているのが聞こえた。その音は車の扉を強く閉めた時のよう思えたが、人を殴る音あるいは口径の太い銃がぶっ放される音のようでもあった。そんな物騒なことがこの町であるはずないと自分は薄々勘づいていたが、銃は別にしても殴打くらいどんな平穏な町にも潜んでいておかしくはないのだ。家に帰るまで私は怯えていた。木の影にカップルが佇んでいるのも恐ろしかった。男はポケットに手を突っ込んでいた。ゴミ置き場のあたりにゴキブリがいた。少し動いては考え事をするように羽を動かした。夜の暗さが一段と深まった。雲ひとつない濃紺の空だった。星は輝いてなかった。言葉があるようには見えない家々の間を抜けると木の枝が倒れていた。太い枝が道を塞ぎ、私は帰れなくなった。引き返すと犬がいた。ガードレールに首紐が繋がれていた。毛のふさふさとした大きな犬だった。おすわりをしてこちらを見ていた。ふさふさの毛からきらりと光る瞳が愛くるしくこちらを向いていた。ときおり舌を出して鼻を舐めていた。臆病な僕は噛まれては困ると逃げた。大通りに出るととつぜん騒々しくなった。トンネルを抜け出た時のように、耳の中がじゃりじゃりした。背の高い人が私の前を通り去っていった。私の頭の位置に腰があった。歩道のタイルが遠近法に沿って小さくなって消えた。大きな人も遠近法に従って小さくなって消えた。坂道があった。坂を下り終えるまで何も考えなかった。また登らなければならない? いや、登る必要はない。下り終えた地点から振り返ると壁のような登り坂がそこにあった。家は遠く、夜は終わりそうもなく、町のもっとも低い位置に私はいた。しかし