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いつも考えていること

東京都庭園美術館、東京都写真美術館、東京都現代美術館、三菱一号館美術館、国立近代美術館

東京都庭園美術館

6/1から再開。東京モダン生活展。検温あり、ウィンターガーデンに入れなかったり、新館から外へ出る動線になっていたりした。もともと人の多くない美術館であり、開放的な建物だから、のんびりした空気が漂っていた。ビデオ上映していた部屋だけ、やや人が密集していたので、ここは考え所かもしれない。そこにしか座席がないってのもあるんだろう。

今和次郎と吉田謙吉の考現学や、東京の街を描いた巻物、小出楢重のステンドグラス下絵がおもしろかった。

 

東京都写真美術館

6/2から再開。写真とファッション展、森山大道展。検温あり、エレベーターの定員を四名に制限。写真美術館は複数の展覧会を同時に開催する上にやたらと割引制度が充実しているので、チケット購入に時間がかかる。どれを見るのか、割引対象となるクレカや会員証をもっていないか、いちいち確認する。通常よりも多くのコミュニケーションが発生してしまうので、飛沫予防のサンバイザーみたいなものをしているけれども、ちょっとどうなんだろうかと思った。難しいかもしれないが、「この期間については割引なし、二つの展覧会を一つにしたチケットのみ」くらいの大胆なことをしてもよかったのでは。

ファッション展で見た沖縄でミリタリールックを撮る作品がなんだかよかった。何がどうってことはわからないが、何かが良かった。森山大道は猥雑な東京を写し出していて、今こうした引きこもった日々にその猥雑さがどこか虚しく思えた。

 

東京都現代美術館

6/2から再開。オラファー・エリアソン展、ドローイングの可能性展、もつれるものたち展、コレクション展の4つを見る。

エリアソン。作品の運搬にかかる二酸化炭素排出量を抑えるために使った鉄道や船の揺れを記録した作品に代表されるようにメッセージ性の強いものもあれば、水面の揺らぎや光の不思議さをテクニカルに表した作品もある。「映え」要素があるのか撮影可能だからパシャパシャ撮り回っていてちょっと萎えた。

ドローイングの可能性では、贅沢にマティスが見られたのがとてもよかった。石川九楊の作品も久々にみた。読めない。読みたい。読ませられる。盛圭太の作品もよかった。どこかで見たことのある雰囲気だと思ったら六甲ミーツアートに出品していたのを見たのかもしれない。

4つの展覧会を、昼ごはんやおやつ休憩を挟んで一日かけて見て回った。とても楽しい一日だった。

しかし、読売新聞と美術館連絡協議会によって「美術館女子」なる醜悪な企画に背中から刺されることになるとは思いもよらなかった。現美も犠牲者ではないだろうか。紙面を読んだが、誰が書いたのかわからない文章がぼやっと載せられていて困惑。このアイドルが書いた文章っぽいところもあれば、おっさんが書いてるくさい文章も混ざっていて、いまいち要点がつかめない。さらに「アイドルが作品になる」みたいな単に意味のわからんことが書かれていたりもする。そもそも公立美術館を盛り上げようと言いつつ、わざわざ現美でやる意味もわからん。せめて世田谷とか板橋とか目黒の区立美術館でやりゃあいいのに。そして今更だけども「美術館女子」ってなんや? 特にキャッチーでもないし、美術館に女性が来てそれがどうしたのか? 女性が何かアクションを起こすのが「目につく」のだろうか。バカげている。平気で「女性政治家」とか「女性アスリート」とか言っちゃうようなマスコミだから、こういう意味不明な企画が通るのだろう。残念極まりない。

 

三菱一号館美術館

6/9から再開。日時指定予約が必要。画家が見た子ども展。検温あり。ネットで購入したチケットがやたら小さなQRコードで戸惑ったのですが、よく見ると印刷してもってこいということらしい。うーん。今時印刷する人いないでしょ。スマホの画面を見せたのですが、視認性が低いから指定時間が正しいかとか確認に手間取った。なんだかなあ。

ボナールやドニ、ヴァロットンといった三菱一号館美術館らしい作家たちの間に、アルフレド・ミュラーとアリスティード・マイヨールという聞きなれない作家たちがいて、よかった。ミュラーの描く、昔の少年少女文庫みたいな細い線と少女の暗い表情は郷愁を誘う。あひるも可愛い。ヴュイヤールもよかったし、ポスターに採用されたゴッホも可愛い作品だった。近代の主題である「子ども」を捉え直すいい展覧会だった。

 

国立近代美術館

6/12から再開。日時指定予約が必要。ピーター・ドイグ展。検温あり。

とても良い!絵画ができることはこんなにも豊かなのかと驚く。美術史を踏まえたその次の一歩。描かれている内側の世界と、こちら側の見ている世界と、そして絵の具の存在。鑑賞によってその三層がくっきりと分かれ、提示される。筆致のない現実を写し取ったような絵でもなければ、どこにも存在しないような幻想的な絵でもなければ、内面を描いた荒々しい絵でもない。絵を描いた絵? そんな言葉で騙せるだろうか。必見。

 

 

国立西洋美術館

6/18から再開。日時指定予約が必要。ロンドン・ナショナル・ギャラリー展。会期延長。素晴らしい!

61点、すべてナショナルギャラリーに借りたもの!すごっ!

ルネサンスから始まり、ゴッホのひまわりをラストに据える構成。

クリヴェッリの「聖エミディウスを伴う受胎告知」の見事な遠近法。はみ出たりんごとズッキーニ(?)が私を絵の世界にいるかのように錯覚させる。

ティツィアーノの「ノリ・メ・タンゲレ」は復活したイエスに触ろうとして「触れるな」と言われるマグダラのマリアの絵。早朝、遠くに犬を散歩させる人の姿が愛らしい。

レンブラント、「34歳の自画像」は自信に満ち溢れた姿。

フェルメールの「ヴァージナルの前に座る若い女性」は手前のヴァイオリンと壁にかけられた絵がハッとするような構図を生み出す。

ヘーダの「ロブスターのある静物」はホキ美術館に迷い込んだかのような完璧な写実。

ローレンスの「シャーロット王妃」は筆致大胆さに引き込まれる。物憂げな王妃の表情と遠くに見える教会堂も美しい。

エル・グレコの「神殿から商人を追い払うキリスト」の群像画はバランスが抜群。目がヤバいキリストもかわいい。

ムリーリョの「窓枠に身を乗り出した農民の少年」の笑顔の無垢さ。はだけた右肩も少年らしさをたっぷりと表現する。

コンスタブルの「コルオートン・ホールのレノルズ記念碑」はこれでもかと重ねられた重たい色が豊かな色彩を生み出す。

ターナーの「ポリュフェモスを嘲るオデッセウス」は全体を見れば眩い明るさの絵なのに、部分部分は濃く深く、奇妙な色使いなのが印象的。

ファンタン=ラトゥール の「バラの籠」。これが見たかった! ニューオーダーの名盤「権力の美学」のジャケットで見たこの絵!鮮やかなバラと背景の素っ気なさがとんでもなく美しい。

常設展で見たヤン・ファン・ホイエンの「マース河口」の地味で渋い茶色も良かった。そんな色なのに、すごく明るい。

ローラ・ナイトの「屋内練習場のジョー・シアーズとW.エイトキン衛兵伍長」も忘れがたい。

多分私は茶色が好きなのだろう。

上野駅、公園口が変わってました。

 

以下はこれから行くリスト。

国立新美術館

6/24から再開。日時指定予約が必要。古典×現代2020展。おもしろそう!

 

アーティゾン美術館

6/23から再開。日時指定予約が必要(前から)。

鴻池朋子展、宇宙の卵展、コレクション展とどれもおもしろそう。

 

ヨコハマトリエンナーレ

6/23から日時指定予約が開始。7/17開幕。どんなトリエンナーレになるのか、期待。