Nu blog

いつも考えていること

詩(夏のイマージュ)

夏が来た。

空を見てると、

旅情が動く。

 

「生活」とやらが……聞いてあきれる。

ーー中原中也「(夏が来た)」

 

荷物を運ぶ青年の

頭の帽子が跳ね揺れる

したたる汗が光ってる

アスファルトに落ちて焼ける

 

君が僕の布団に滑り込み

ミツバチの攻撃みたいに

とっても熱くなる

 

陽を受けて照る

溶けたアスファルトと犬の小便

目をつむったら出てきた生理的な涙

 

かわしたはずの嫌がらせで

家に帰って心が痛む

矜持を持てっていったって

ああ、ああ、ああ、ああ

限界があって

 

荷台を押して駆ける青年の

帽子の隙間から飛び出るポニーテールが

跳ねて左右に揺れ動く

車輪の鳴らす騒音と

セミの声が地に染みる

 

終点のないバスや電車?

ではなく

私たちは世界の中を歩いている

だけのため

自ずから終着はない

 

草原、一本道、青空

くっきりと

赤い気球が浮かんで見える

いま、このとき

気づく