スーツ姿で歩いているのに
僕は裸みたいだ
知らぬ間に
月十五万で
働かされている
使い放題
朝八時から
夜二十二時まで
目一杯
ご利用いただける
私
そしてわざわざ
怒られるようなことをする
あの人は怒りたいから
これくらい怒らせてれば
大丈夫
夜
サウナ室の天井に雲がわきおこった
雨が降り、汗を吹く
水風呂を出た私は
浴室の隅っこでタオルを絞る
何度絞っても
水は途切れず滴り落ちる
タオルが硬くなる
手が痛くなる
コンビニ店員と顔馴染みになって
得したことなど一つもない
けれど
彼の顔を見ると
私は安心してしまう
毎日
暗い玄関から部屋へ
足音立てず移動する
私はそれに慣れている
君たちの顔を
先週の火曜以来見ていない
思い出すこともできない
朝になれば
私はまた貸し出されていく
その権利はもう
売り渡してしまった
次の譲渡先に
君たちは当然なってくれない
寄る辺なさの責任を
私はようやく負い始める