Nu blog

いつも考えていること

スケッチ(正月の風景)

「ほら、出かけるよ」と促されてテレビを消そうとした。画面はちょうど八区から九区へたすきが渡されるところだった。N大の九区の走者が大写しにされ、K田という名前がテロップで表示された。

それで私はテレビを消して、床暖房の電源が消えていることを確認した。リビングの明かりは、「出かけるよ」という呼びかけと同時に消されていた。

K田という名前を見て、二十年ぶりに中学校で一つ年上だったK田さんを思い出した。特別仲が良かったわけではなく、学年を横断して取り組む授業の中で、少し交流しただけだ。

西川きよしのように大きな目玉が特徴的で、丸いメガネをかけていた。刈り上げた髪型と相まって、まったくのび太くんみたいな風貌だった。のび太と違って、成績優秀だった。後輩たちを指揮してくれて、滞りなく課題が進んだことを覚えている。

今もあの時のように、気さくでありながらも責任感ある態度で仕事をしているのだろうか。朝起きた時に眠くて起き上がれないことなどなさそうな人だったが、そういうこともあるのだろうか。飲みすぎて吐くことなど生涯なさそうな人だったが、どうなのだろうか。見たかった番組の録画を忘れてしばらく不機嫌になることもなさそうな人に見えたが、実際はどうだったのだろうか。

なぜか私はそんなことを考えていた。

あのK田さんも陸上部で長距離走をやっていた。

とはいえ、さっきテレビに映ったK田くんは、出身高校も全然違ったし、たぶん中学の時のK田さんとは関係がないだろう。帰宅後、駅伝の結果を確認すると、K田くんの学校はシード権を逃していた。ネットで詳しく調べると、K田くんは順位を落とすこともなかったが、伸ばすこともできなかったようだ。立派に仕事をしたのだなと思った。

夕食後、腹が減っていないのに、餅を食った。砂糖醤油と海苔で食った。静かな夜だった。