Nu blog

いつも考えていること

売本

ここ一年で結構本を売った。
昔は本を売ると同時に買ってしまって、プラスマイナスで蔵書数が増えていたものだが、最近は本を買わないから増えない。
図書館で借りてしまうばかりか、そもそも読書欲が薄くなった。なんだか、加齢による精力低下に悩むおじさんみたいだ。
 
結構本を売った、と自慢げだが、それでも腰くらいの高さの本棚三つ分が満席だ。
その前まで、そこからあふれ出ていたわけで、妻に眉をひそめられるのは当然である。私も妻の服が収納しきれていないことに眉をひそめ、ひそめあっている二人だ。
本当は、たぶん私の本棚が悪くて、この大きさの家なのだから、均等にするなら、本棚は二つで、もう一つのスペースは洋服タンスか何かであるべきなのだろう。
でもまあ、本棚を買っちゃったし、実際本棚がなかったらこの本たちはどうなるというのか(知らんがな)。
 
二、三ヶ月に一度本棚を見返して「ときめき」がなければ売るわけだが、冒頭の通り、ここ最近の私はすっかり本にときめかない。
それでも永遠のマイベストである中島らも町田康保坂和志山崎ナオコーラ、国分功一郎、木村敏、数多ある岩波文庫中原中也立原道造、現代詩文庫、美術や相撲にまつわる本、それらにはまったく手をつけられない。
ときめくとかときめかないじゃなくて、私の三十年分の、いや少なくとも十代の私の怨念がこもっていて売ると過去から殺しに来そうだから売れない。
 
きっと売ったら、目を血走らせた過去と未来の私が「野郎、ぶっ殺してやる」とスパナでも持って追っかけ回しに来るだろう。