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いつも考えていること

六甲ミーツアート

兵庫県は神戸市、標高九三一メートルの六甲山。ケーブルカーに乗って山頂付近まで十分で行けてしまうその山で、毎年秋になると、六甲ミーツアートというアートイベントが行われている。

二〇一〇年から開かれているから、昨年の秋で九年目。

私が大学生の頃に一回目があった。三十歳を目前にした自分が、その頃と大して変わらず、毎年六甲ミーツアートに通っていることに驚く。

思い出してみると、二〇一〇年初年度大賞の角野晃司「蓑虫なう」からインパクトが大きかった。蓑虫の格好をして木にぶら下がり、ツイッターをするという異色の企画で、iPhone 3GSを持ったばかりの私は、嬉しがってツイートしたものである。

適当に思い出してみる。

二〇一二年は傑作揃いで、淺井裕介「根っこのカクレンボ」(今も駅舎の壁面に残る作品)、クワクボリョウタ「LOST #7」(列車から映し出される幻想的な影絵)、加藤泉の「無題」、東恩納裕一「untitled」(シャンデリア等蛍光灯で彩られた作品)、井口雄介「floating cube」(オルゴール美術館外で一番素敵だった作品)、藤江竜太郎「tribute flowers」といった名作がそろった。ちなみに二〇一二年はなぜかブックレットがない。あれば教えてほしい。

二〇一三年から開発好明「未来郵便局」というそれ以後恒例となった企画が始まった。私も毎年出している。封筒と紙のサイズの絶妙なあわなさがいつも気になっとります。

また、前年素晴らしかったクワクボリョウタ「lost and found(忘れ物取扱所)」も幻想的かつ郷愁的でよかった。

Hidemi Nishida「ガーデン・スカイ」という巨大な椅子もよく覚えている。カンツリーハウスの坂に設置された巨大な椅子。あそこから見た景色は忘れがたい。

二〇一四年も結構好きな作品が多く、鴻池朋子「インタートラベラー」(不意に現れる下半身!)や、佐川好弘「胸の土器土器」、鳴海健二「六甲おもてなし百景」(歩いてるとがさがさ気配がするというので、結構びびった)、持田敦子「ゆかした」(アルペンローゼを舞台とした作品はこれくらいでは?)等、六甲山を活かした秀作揃い。

二〇一五年には安藤忠雄建築の一つであり、代表作にも挙げられる風の教会が会場に加えられるという大ニュースがあった。ホテルの閉館とともにもう公開されないのではないかと言われていて、伝説の安藤忠雄建築となりかけていたところを六甲ミーツアートによって再び陽の目を浴びることとなった。二〇一八年にも再度会場として登場した。なんとも素晴らしい会場なのである。また数年おきに会場になったら嬉しい。

二〇一六年はオルゴールミュージアムの池を使った古屋崇久の「爆発」が素晴らしかった。作者とのコミュニケーションという観点からは初年度の「蓑虫なう」をほうふつとさせる作品だった。

二〇一七年はさとうりさの「あべちゃん」が最高にキュートだった。不思議な生物が六甲山頂に浮いているミスマッチ感覚。

二〇一八年は記念碑台に初めて作品があって、石に頭を突っ込める黒川岳「石の音を聴く」が面白かった。

 

二〇一二年より後は六甲ミーツアートを目的に帰省している。なぜだか行かなきゃならんという使命感がある。

数多あるアートイベントの中で、アクセスしやすい、親しみやすいものだと思う。

今年の秋で十年目。どんなイベントがあるのだろう。ワクワクしながら、早くも秋を待っている。