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いつも考えていること

「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」の感想

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ポケモンの映画を観た。子供の頃も観に行ったことがないから、初めての経験だ。ミュウツーの逆襲とかルギア爆誕とか観たかったんですが、恥ずかしくて親に言い出せず、たぶんハリーポッターを家で読んでたと思う。

大人になったので親に対する気兼ねもなく、なんとレイトショー、夜9時からの回という大人なことをしてやったり。

 

詳しくないのですが、リファインと言うのですか。20代後半のノスタルジー刺激しまくりと聞いて、思わず腰を浮かして前のめりに観に行った。ほら、ドコモのCMもそうですけど、そろそろ90年代を懐かしむのが商売になり始める時代でしょう? やっと自分も懐かしむ側に回ったのだから、斜めに見ずに真っ正面から懐かしみたい、なーんて思って。

 

アニメの初回をなぞるように始まる今作。とはいえ、リアルタイムで観てたはずなんだけど、朧げな記憶たち。オニスズメに襲われるエピソードとか全く覚えてなかった…。あんな始まりでしたっけ? あの一つの出来事でピカチュウと信頼関係ができちゃうんだっけ? 添い寝のピカチュウの速攻懐く感じ、どうなの? などなど、頭の中をぐるぐるとはてなマークが飛び交う。

や、絶対に小学生の頃に初回、というかポリゴンショックまでは観たのだ。観たという記憶がめっちゃある。あんなワクワクしながらテレビの前に座ったことはないのだから。

モンスターボールはあんな感じで小さいのが大きくなって、ポケモンにぶつけたらぱかっと開いて吸い込むのか!とか、ポケモンバトルってそんな感じで、電光石火で避けろ、とか言っちゃうのか!とか、いろいろ衝撃だったことを覚えてる。

なのに、まあ、なんということか、細部のエピソードはカケラも覚えてないんですね。ほら、ヒトカゲとの出会いってあんなでしたっけ? 後半のリザードリザードンが言うこと聞かないエピソードの方ら覚えているのだけど、それが描かれなくてオヨヨってなった。リザードンって言ったらサトシを丸焦げにするキャラ、という認識なのだ。

あと、「バイバイ、バタフリー」って名作回で、感動的な回だと思っていたのですが、そうでもなかった。なんというか、うーん。なんでしょう。時を経て、感受性が死んだのでしょうか。

 

と、いうように、記憶の掘り起こしがドカドカと行われて、とても楽しい。

中盤、うとうとと眠ったサトシの夢で、ポケモンのいない世界が描かれるのが示唆的である。現実の私たちもサトシの夢のようにポケモンのいない世界に生きている、ような気がするけれど、そんなことはない。私たちは実際にゲームで、アニメで、漫画で、ポケモンのいる世界を生きてきた。今もポケモンGOをやっている。

にも関わらず、私たちは「ポケモンなんていない」と思っている。実際にポケモンはいて、ずーっと私たちのそばにいてくれている、と気づかせてくれるシーンだった。

生き物としてのポケモンが存在しなくても、現実世界にはポケモンカルチャーがたくさん存在する。現実世界は「ポケモンのいないifの世界」ではないのだ。

kai-you.net

 

最後に。子どもらしいサトシの様子に、そうか子どもだもんなと思う。かの世界では10歳になると独り立ちして冒険に旅立つことができる。この設定に子どもの私(たち)は大興奮し、サトシのように旅立つことを夢見、代替的にゲームの世界で旅したわけだ。

もう大人の私(たち)は、サトシのように旅立つことを夢見ない。毎日帰る家があることのありがたみを知っている。旅することのしんどさを思う。また、バトルする痛みも想像できる。あんなして、ポケモンに攻撃させ、傷つける行為を、野蛮だと思ってしまう自分がいることに気づく。

昔、私と兄がドラゴンボールのアニメを観ていたら、祖母が「野蛮だ」とつぶやいて襖を閉めたことを思い出す。

バトルに痛みを見出したら、大人なのかもしれない。