国技館の楽しみ方はこちらの記事に譲るとして、僕はテレビの見方を中心に相撲についていろいろ書きます。
「大相撲に一度行ってみたいな」と思っている人の背中を押しつつ、オススメの行動スケジュールをご紹介するの巻。 : スポーツ見るもの語る者〜フモフモコラム
普段から相撲に興味を持っていて、ある程度力士の名前がわかる方が国技館に行ったら、それはそれは楽しいことこの上ありません。
マス席は、お茶屋さんを通さず、ネットで買えば、4人の場合一人1万円ちょっと。
そこにお昼のちゃんこ(250円)、焼き鳥(500円)、ピザ(まるまる一枚あって900円)、お酒代(人によるだろうけど、僕のいつも行くメンバーなら一人当たりビール5,6杯なので、〜3000円とかそこら)、お土産にご贔屓力士の扇子やタオル(〜5000円くらい。これは人による)、晩のちゃんこ代(〜5000円)として、お土産やお酒、晩のちゃんこ代をうまいことやれば最低2万円から丸一日楽しめます。
ちなみに当日券のイス自由席は2200円。これならマス席に比べ、チケット代が8000円も浮くのでこちらもお勧め。
イスC席はこの当日券、自由席と二列しか変わりませんし、朝から並ぶしんどさを割愛できるとはいえ、3800円。見え方に差はないので割高感があります。
イスA席は8500円。イスの質がよくなるし、テーブルもつくので、イスならこちらがお勧め。和服で行く場合、マス席だとずっと正座で疲れるから、イスがいいんじゃないかなあ。
にしても、初めて行くなら4人揃えてマス席がもちろん楽しいです。
ちなみに、これはなぜかちょくちょく聞かれるのですが、マス席は3人でもいけます。ただ4人分のチケットを買うので、割り勘したら高くなります。
どこの席にせよ、一番の楽しみは声を出すこと。
「はくほーう!」「きせのさとー!」「かくりうー!」「はーるーまーふーじー!」
家での観戦ではできないし、しても意味のないことが、国技館なら目の前にいるのだから、もしかしたら聞こえてるかもしれないし、それが力になると思うと張り合いがあります。
優勝後のNHK「サンデースポーツ」のインタビューで、白鵬は豪栄道に負けた理由に「豪栄道コールが大きくて集中できなかった」と答えています(反対に逸ノ城の時は声援が聞こえないほど集中していたようですが)。
僕は贔屓の力士がたくさんいますので、5時台は大声張り上げっぱなしです。
聞こえてるのかなあ。
反対に言えば、力士の名前が分かっていないと(少なくとも贔屓の力士が一人はいないと)、たくさんある取組を漫然と見ることになってしまいます。
わーわー言ってる国技館の雰囲気を楽しむ、というのはあると思うし、先のブログで紹介されてるグルメももちろんいいけど、わざわざ観に行ってるのだから、声出さないと!と思います。
あと、そもそも注目の取組がどれか分からないと面白さ半減です。
横綱の取組だけがみんなの注目の一番かというとそうではありません。
むしろ、「実力の拮抗した若手同士」とか終盤になると「負け越し(勝ち越し)がかかってる」とか「同年代対決」とか「いつも面白い取組になる」とか、いろんな視点がありますが、そういう楽しみ方があります。
チーム戦じゃないので、「阪神巨人」や「早明戦」とか「早慶戦」のような伝統の一戦はありませんが、その分個人の物語が詰まっています。
その物語を読み解く方法は、相撲という競技を継続的に見るしかなく、要は知識の問題になってしまいます。
解決策としては、知っている人と観に行って、横で解説してもらう、という手っ取り早い方法があります。
しかし、それは詰まらない。どんなことだって自分で知るのが一番楽しい。
というわけで、テレビで相撲を見ましょう。
1月に見に行くなら、11月の九州場所を観ればいい予習になります。
一場所しっかりチェックすることで、国技館に行った時、段違いに楽しめるはずです。
相撲は他のスポーツと違って、全ての取組が放送されています。
しかもNHKなので、無料とは言い切れませんが、テレビさえあれば観られるわけです。
最近、スポーツはニコニコ動画とかWOWOWに入ってないと全試合見られませんが、相撲は地上波でずっと放送しているのです。
いつまでもそうあってほしいと願ってます。
でも見るのには時間がかかる、そんな暇はない、とおっしゃるかもしれません。
大丈夫です。
僕は仕事が終わって家に帰ってから、2時間分の録画を早送りしつつ1時間かけて見ています。
時間があれば解説もしっかり聞いてリプレイも見ますが、基本的にはご飯を作る、食べる、片付ける、お風呂を入れる、入ってる間はさすがに一旦停止して、上がったら再開。髪の毛を乾かす、布団をしく、そんな日常のことを同時にやりながら見ています。
飲みに行ったり、残業したりで遅くなっちゃって眠い時には20分程度で見ちゃう技もあります。
時間も金も手間も、きっとそれほどかかりません。
とはいえ15日もあるので、何日かは新聞やネットで結果を見るサボリの日があっても仕方がないと思います。
あるいは今、相撲協会の公式アプリで取組を見ることができるため、さらに簡単に動画を見ることができます。
サボっちゃった日にはこちらでチェック、というのも十分だと思います。
(アプリでの観戦はあくまで補助的なものと考えています。家にテレビかない、録画できない場合は仕方がありませんが、僕はあくまでテレビでの観戦による予習をオススメします。その理由はおいおい)
とにかく、1月までに一通り相撲を知って、国技館で「わけがわかった」ようになれるよう、テレビでの相撲観戦について、ご紹介します!(前振りが長い)
11月の九州場所は11月9日(日)から23日(日)の15日間ですので、まずその期間になったと思ってください。
で、チャンネルをNHKに合わせてください。
さっそく余談なのですが、僕は基本的に朝ドラと相撲しか見ないので、常時NHKにチャンネルが合っています。
NHKの集金の人が来た時も相撲を観ていてそろそろ取組が始まるというタイミングだったので、早く手続きするように急かした、ということがありました。「いやー、琴奨菊が活躍してるんですよね」と言われた時には「それを見逃しそうなんですよ!早くしろ!」と大きな声を出しかけましたね。
閑話休題。
相撲中継は、地上波では15時から十両、16時から幕内が放送されています。
国会中継や臨時ニュースなどで十両の放送がなかったり、ずれ込んで16時40分ごろ、幕内の後半から放送が始まることもあります。
BSでは13時から幕下の取組を放送しているそうです(我が家はBSが見れないので見たことがない)。
ここで、そもそもこの十両とか幕内ってなんだ、という方もいらっしゃる方もいると思うので、まずはそこから。
「十両」
力士になるには23歳(相撲協会が認める学生やアマチュアの大会で一定の成績を残せば25歳)までに、所属したい相撲部屋を通じて規定の書類を揃え、新弟子検査を受け合格すれば、なれます。
「舞の海(まいのうみ)」という力士が頭にシリコンを入れて身長をごまかしなんとか合格した、という話が有名だったりする新弟子検査の基準は身長167センチ、体重67キロ以上。
舞の海の時代は173センチだったので、今は少し門戸が広がったわけです。
ちなみに、もう引退してしまいましたが今年の7月に新弟子検査を受けた167センチ67キロの、しこ名「育盛(そだちざかり)」というのが話題になったりしました。
【名古屋場所】育盛(そだちざかり)「オエッ」90分で4キロ増!新弟子検査ギリギリ合格 : スポーツ : スポーツ報知
現役の関取でも「豊ノ島(とよのしま)」が170センチ、「豪風(たけかぜ)」は171センチです(Wikipediaでは豊の島は169センチになっている)。
力士プロフィール - 豊ノ島 大樹 - 日本相撲協会公式サイト
もしも大柄な子どもがいれば、ぜひお相撲さんを勧めてください。
→「漫画大相撲入門編(日本相撲協会公式サイトから見れます)」http://www.sumo.or.jp/pdf/fukyubu/2013nyumonhen.pdf
というわけで、基準さえ通れば力士にはなれますが、一人前の力士=「関取(せきとり)」になるにはこの十両というランクまで昇進しなければなりません。
十両になり「関取」になると給料が出ます。幕下以下の力士が付き人となり、身の回りの世話をしてくれます。紋付き袴も着られるようになり、自分の部屋が与えられます。
それまではいわば一般人、給料は出ないし、みんなで雑魚寝。ちゃんこ番や関取衆の付き人としての世話係もしなくちゃなりません。
ちなみにその十両より下のランクにも区分があって、下から「序ノ口」「序二段」「三段目」「幕下」と分かれています。これらのランクでは15日間中、7日間しか相撲を取らせてもらえません。そこで4勝以上していくことで、位が上がっていきます。
三段目からは雪駄が、幕下からは冬場にコートが着られるようになりますが、関取ではないので、一人前とは認められません。
三段目には200人、幕下には120人の力士がいます。この幕下でも上位30人になってくると、ようやく十両になれる可能性が出てくるため、この上位30人の争いはし烈なものがあります。
反対に、十両の下位は、そこで負け越してしまうと、幕下に落ちてしまうので、これもまたし烈な争いとなります。
さっきから勝ち越し、とか負け越しとか言っていますが、その説明を。
相撲は15日間行われますが、その成績が8勝7敗と7勝8敗で大きな差が出ます。要は勝ちが一つでも多ければ出世ができて、負けが一つでも多ければ降格します(幕下以下は7日間なので、4勝が分かれ目になります)。なので、力士はまず勝ち越しを目指します。テレビでは11日目くらいまでに8勝目をあげるとインタビューされます。早く8勝することはその場所でよく活躍していることを示すバロメーターでもあるわけです。
負け越しは負け越しでも7勝8敗の負け越しと、1勝14敗の負け越しは違います。何がどう違うかというと、その後の降格具合が異なります。
7勝8敗なら、順位が1枚だけ落ちますが、1勝14敗だと13枚分落ちてしまいます。勝ちと負けの差分が影響してくるわけです。
反対に勝ち越しも8勝7敗なら1枚分昇格します。13勝2敗なら(9月の逸ノ城のようなパターンです)ものすごく出世します。この九月に大活躍した「逸ノ城(いちのじょう)」は来場所関脇と言われていますが、本当にいきなりそんな上がるのか、10月終わりに発表される番付が楽しみです。
逸ノ城 新関脇も モンスター出世街道 - 大相撲ニュース : nikkansports.com
順位のことを「枚」というので、覚えてください。
負け越すにしてもマシに負け越したい、というあたりも一つの胆で、というのも7勝8敗なら1枚、でも6勝9敗なら3枚も落ちてしまう。特に十両下位にとって、それは大きな差です。そんなところも見どころの一つです。
「幕内」
十両のさらに一つ上が「幕内」です。
この幕内の中はさらに分かれていて「前頭」「小結」「関脇」「大関」「横綱」がいます。
幕内の中では前頭がたくさんいて、筆頭から二枚目、三枚目、四枚目云々という具合に順位がつけられ、一番下は大体16枚目とかそれくらいです。あ、ちなみに言っていませんでしたが、東と西に分かれているので、前頭二枚目というのは二人存在します。比較すると東の方がちょっとだけ上(半枚上)です。
この前頭の下の方になると、十両上位との入れ替えの可能性があるので、さっきの十両と幕下のようなし烈な争いがあります。幕下と十両ほどに地位の差はないものの、注目度や力量の差があって、幕内を陥落したら引退する、ということもあるほどで、ここもまた見どころです。
さて、「小結」とか「関脇」とは何なのか、という質問はよく聞かれます。この二つは前頭より上、けれど大関より下の「役」のついた位です。
そもそも「大関」になるには「小結」「関脇」の地位に上がってから通算3場所で33勝以上すること、が一つの目安、条件とされています。また「横綱」になるには、2場所連続優勝(またはそれに準ずる成績)が条件とされています。
しかし、「小結」「関脇」にそういった条件はありません。前頭になってから順調に勝ち越していけばなれる役です。
一度でも「小結」「関脇」に上がった力士は引退後「元・小結」や「元・関脇」と呼ばれます。
また、小結、関脇、大関をまとめて「三役」と呼ぶことがあります。
なんでかしらん、前頭に比べると偉いように扱われるわけですね。
しかし、実際前頭から役力士になるのは、とても難しいことです。
前頭の中でも五枚目より上の位になると、横綱や大関といった強い人たちとの対戦が組まれます(15日間しかないため、どうがんばっても横綱と対戦できるのは15人しかいません。となると、横綱に当たるのは一番上の位から数えて15人。現在は横綱と大関がそれぞれ3人いて、関脇と小結が2人ずつ、これで10人。あと6人なので。前頭三枚目までにいないと横綱や大関と対戦できません。同じ相撲部屋に所属する力士同士は対戦できないため、それを考慮すると五枚目くらいが目安になります)。
十両の最後の項目で説明したとおり、番付を上げるためには勝ち越さなければなりません。小結になるためには前頭筆頭で最低8勝7敗する必要があります。しかし、前頭筆頭は確実に、というか1日目から大関、横綱戦が組まれます。今なら強い人6人と当たってしまうわけです。もし実力がなければ、普通ならいきなり6敗してしまう、という状況なわけです。そこから気持ちを立て直して8勝するのは、実力の拮抗した幕内上位ではなかなか難しいことです。
小結、関脇になることは、幕内上位で強敵相手に一定の成績を残せるようになったこと、つまり実力があることを意味します。
そのため、自分の好きな力士が幕内上位に上がった場所はもう期待と不安で、どきどきしっぱなしです。
ちなみに先場所なら今を時めく大スター「遠藤(えんどう)」と「照ノ富士(てるのふじ)」が前頭筆頭になりました。両力士ともかなり負け越してしまったため、来場所は前頭五枚目以下となり上位戦がないかもしれません。期待していただけに、というか二人とも年内に三役になると思っていただけに辛いものです。逸ノ城が先に三役になるなんて・・・。
力士プロフィール - 照ノ富士 春雄 - 日本相撲協会公式サイト
力士プロフィール - 遠藤 聖大 - 日本相撲協会公式サイト
ちなみのちなみに、先場所十両で優勝した「栃ノ心(とちのしん)」は、実は元・小結です。怪我をして幕下まで地位を落としていました。復帰後、2場所続けて幕下で7戦全勝、十両復帰後13勝、15勝全勝とここ4場所続けて優勝しまくっていますが、驚くことはありません。それだけ元三役力士、というのは実力があるものなのです。
力士プロフィール - 栃ノ心 剛 - 日本相撲協会公式サイト
言っていませんでしたが、優勝については、それぞれの位(序ノ口、二段目、三段目、幕下、十両、幕内)で決められます。幕内での優勝を「幕内最高優勝」と言い、「天皇賜杯」という大きなトロフィー、優勝旗、内閣総理大臣杯、他にもたくさんのトロフィーと賞状と賞金や副賞が渡されます。そして優勝額が作られ、国技館に飾られます(両国駅に飾ってある大きな写真のこと)。
そもそも幕内と十両を解説するだけのつもりが異様に長くなってしまっていますね。
大関は先ほども紹介したとおり、役力士になってからさらに平均すると一場所11勝することを3場所連続することが求められます。これは、今なら6人いる横綱大関のうち少なくとも2人には勝たないといけないわけです。その上、他の力士にも負けちゃいけない。めっちゃ難しいことです。
と同時に、大関になってからも同じように安定して強くあることが求められます。勝ち越すことは当然、優勝争いに絡むことが求められます。横綱、他の大関、力をつけてきた関脇や小結との対戦があるわけですから、その緊張は計り知れないものがあります。
しかしながら、大関は負け越してもすぐに関脇になるわけではありません。関脇や小結は負け越したらすぐに下に落ちますが。
大関は一度負け越して、次の場所でも負け越したら、関脇に落ちます。つまり2場所続けて負け越すと駄目です。まあ、2場所、30日間フルに出場して、どちらとも負け越した大関というのは、僕は知りませんがいるのでしょうか、いえ、大関という地位の名誉のために知らないでおきたいと思います。基本的には怪我で休場してしまったとか、調子が出ないとか、そういうのが原因です。
ちなみにその負け越してしまった次の場所、やばい場所のことをカド番と言います。カド番で勝ち越したら、カド番脱出。負け越しちゃうと大関陥落。
でも、大関陥落してもそこで10勝以上したら特例で大関に復帰できます。なんだ、この特権、と思いますが、まあ、そういうのがあります。
えーと、大関は優勝することが求められる厳しい立場でありながらも、万が一負け越しちゃっても大丈夫、次がんばろう!みたいになっています。案外カド番のくせに優勝争いに絡む力士(琴奨菊)もいるため、一概に負け越したなら即陥落、みたいな議論は難しいものです。
現在の大関は「稀勢の里(きせのさと)」「琴奨菊(ことしょうぎく)」「豪栄道(ごうえいどう)」の3人です。
力士プロフィール - 稀勢の里 寛 - 日本相撲協会公式サイト
力士プロフィール - 琴奨菊 和弘 - 日本相撲協会公式サイト
力士プロフィール - 豪栄道 豪太郎 - 日本相撲協会公式サイト
3人とも実力は十分ですが、まだ横綱になるには安定したものがなく、優勝経験は誰もありません。特に17歳の頃から大器と注目され続けている稀勢の里が28歳の今も「まだ」大関で、優勝経験なし。本人は当然のことでしょうが、ファンももうずっと歯がゆい思いをしています。他の2人もそれぞれに期待されており、いつかは優勝するはずです。
で、横綱。横綱は番付における最高位になります。そのため降格はありません。自分の実力が横綱にふさわしくないと判断した時、自ら引退を決意することしか、先の選択肢はありません。
現在の横綱は3人。3人も横綱がいることなんて、本当に久々のことです。僕が観始めた時には朝青龍の一人横綱時代で、やっと白鵬が横綱になり東西揃ったと思えば朝青龍が引退。その後白鵬の一人横綱が2年半。横綱は基本的に孤独なものだと思ってました。その前は若乃花、貴乃花、武蔵丸、曙ってたくさんいたんですけどね。
しかし今は日馬富士も鶴竜もいます。3回も横綱土俵入りが見られるのが嬉しくてたまりません。
力士プロフィール - 日馬富士 公平 - 日本相撲協会公式サイト
力士プロフィール - 鶴竜 力三郎 - 日本相撲協会公式サイト
横綱土俵入りというのは、横綱にだけ許されたものです。宝塚歌劇のトップスターが最後にひと際大きな羽を背負って大階段を下りてきて、ばちっとスポットライトが当てられ、全員の注目を浴びる中ソロを歌う、というのと同じで、トップにだけ許された見せ場なわけです。
宝塚の羽にいろいろあるように、横綱の土俵入りも雲竜型と不知火型があります。
四股(しこ)を踏んだ後のせり上がり方と、あと背中の結び目が異なります。
まあ、どっちがどっちでも構わないのですが、どちらにしても、四股を踏む瞬間に「よいしょー!」ということだけは覚えておきましょう。テレビで予習しておけば、国技館で元気よく声を張り上げられますから、後でまた解説します。
何にせよ横綱になるためには2場所続けて優勝することが必要ですが、それはもう至難の業です。現在の大関陣が誰も優勝経験がないことから分かるように、一度優勝することすら難しいのです。
7年にわたり横綱として活躍し続けている白鵬は31回、優勝しています。これは昭和の大横綱、大鵬の32回に次ぎ、そしてもう一人の昭和の大横綱、千代の富士と同じ歴代2位の優勝回数です。その次は朝青龍の25回。
白鵬は現役どころか、戦後の相撲という観点から見ても圧倒的な強さ、記録を誇る力士です。
そろそろ、この余談終わります。
さて、番組表をチェックして、十両の放送があるとすれば15時過ぎからNHKをつけましょう。十両の取組は14時半くらいから始まっているので、途中からの放送になります。
十両の放送は、解説者が若手の親方のことが多く、ちょっと前を知っている人からすると懐かしかったりします。
十両にせよ幕内にせよ変わらないのですが、以下の手順で相撲の取組(言ってなかったけど、試合のこと)は進んでいきます。
- 「呼出(よびだし)」という役割の人が扇子を広げ「東、誰々」「西、誰々」と名前を呼び上げる
- 両力士は土俵に上がって、お辞儀。土俵の端に行き、柏手を打ってから四股を踏みます。それから、力水、といって前に勝った力士から柄杓の水を受けて、口に含み、ゆすいで吐き出します。その間、「行司(ぎょうじ)」が「誰々に誰々」とか「かたや、誰誰」「こなた、誰々」と名前を呼び上げます。
- 塩をまいて、土俵に戻り、蹲踞(そんきょ=しゃがむこと)→塵手水(ちりちょうず=柏手を打って、両手を広げること)。もし懸賞金がかかっていると、このタイミングで懸賞の幕がぐるぐると回ります。場内アナウンスでまた力士の名前が呼ばれます。
- また土俵の端(赤房、もしくは白房下と言います)に戻って、塩をまきます。真ん中の仕切り線のところで、柏手を打って四股を踏みます。仕切り線のあたりに手をついた状態でしゃがみ、取組が始まりそうな感じになりますが、大抵始まりません。また房の下に戻って、塩をまきます。次からは四股は踏まず、蹲踞したら仕切り線に手をついて取組が始まりそうになりますが、やっぱり始まりません。
- 制限時間があるので、制限時間いっぱいになったら始まります。その前に、もし二人の息が合うようであれば、始まることもあります。
- 勝敗がつけば、お辞儀をして、勝った方は行司さんから勝ち名乗りを受け、負けた方は帰ります。勝ったら、次の力士に2番の力水をつけます。
という具合で進んでいきます。
この順番とテレビの関連性を解説していきます。
視聴者としては「5」の取組が始まるところが重要です。ここを見逃したら、何の意味もありません。
ではNHKは1~4で何をしているのか、というと、解説しています。
解説は主に以下のようなものがあります。
- 取組力士の名前、所属する部屋、出身地、番付、今のところの成績の表示
- 二人のこれまでの対戦成績(合口=相性の良し悪し)
- アナウンサーと正面もしくは向正面の解説者による解説
- 東西にいる花道のアナウンサーによる解説
- 現在の取組じゃなくてその日の注目取組の解説
- 現在の取組じゃなくてその日達成される可能性のある記録や最近亡くなった親方等、時事的にちなんだ力士の功績に関する紹介、過去の映像とか
解説の3と4にある「正面」「向正面」、「東」「西」というのは、四辺ある座席の方向を4つに分けて、それぞれそう呼んでいます。正面は、行司さんの顔が見える方。向正面は行司さんの背中が見える方。東は正面から見て左、西は右。
メインのアナウンサーと解説者は正面におり、向正面に解説者がもう一人います。
東西のアナンサーとは、それぞれ東と西の花道(力士が入場する入口のこと)に控えていて、勝負終わりの力士に真っ先に話しかけコメントを引き出したり、あるいは取組前、どのような準備をしていたかをリポートします。
基本的に十両の取組の1~4のいわば暇な間、解説の1と2がさっと表示され、3の解説がされる、というものです。
単調と思うかもしれませんが、ここらへんはだらだら観るものです。
十両が終わると土俵入りです。
東西から力士が入場します。ここはアナウンサーや解説が話さず、淡々と映し出され、お客さんの声が結構聞こえるので「あ、この力士は人気なんだな」というのが感じられます。
その後横綱土俵入り。
柏手を打ったり、四股を踏んだり、いろいろな所作がありますが、とにかく真ん中で四股を踏む時に「よいしょー!」ということ、このタイミングを予習しておけば国技館に行った時役立つので、要チェック。
この掛け声、タイミングを知らずに観に行くと、みんな楽しそうなのに自分だけ置いてけぼりにされます。
横綱土俵入りが終われば「中入り」という時間になり、少し休憩をはさみます。
テレビではその間、特集を組んでいろいろな紹介を行います。解説の5、6にあたるものです。
新十両力士や新三役力士のインタビュー、あるいは関取訪問として誰か一人ピックアップしたり、普通に今場所の展望を解説者が話す、ということがされます。
先場所はたとえば新三役の常幸龍や千代大龍のインタビュー、40歳ながら活躍、勝ち越しをした旭天鵬の関取訪問がされていました。
力士プロフィール - 常幸龍 貴之 - 日本相撲協会公式サイト
力士プロフィール - 千代大龍 秀政 - 日本相撲協会公式サイト
力士プロフィール - 旭天鵬 勝 - 日本相撲協会公式サイト
ここは案外面白くて、力士の意外な一面が見られます。
いつだったか「臥牙丸(ががまる)」の関取訪問の時、臥牙丸が「前に出て負けるなら、引いて勝つよりお客さんが喜んでくれる」というようなことを言っていて、素晴らしい志だなあと感動したものです。相撲好きアイドルの山根千佳という人が行っていて、ものすごく相撲に詳しい方で驚いたのも印象に残っています。
そう、関取訪問は良く分からないのですが、アイドルが行くことがあって、前は「勢(いきおい)」の時はAKBの岩佐美咲という人が行ったそうです。僕は勢にもAKBにも興味がなく思い切り録画を早送りしてしまい、ちゃんとチェックしていません。大分前だったか、マジシャンの小泉エリという人が行っていたりもしました。この方もとても相撲に詳しい方だったという印象です。
臥牙丸関&ゆる〜い|山根千佳オフィシャルブログ Powered by Ameba
力士プロフィール - 臥牙丸 勝 - 日本相撲協会公式サイト
で、解説者の話をしたいと思います。
代表的な解説者は「北の富士勝昭」「舞の海秀平」の二人と言えます。特に北の富士さんの視聴者の言葉を的確な表してくれるのでとても楽しい。
なんだかいまいちな取組やくすぶっている力士に対する辛口な評、反対にに素晴らしい相撲や力をつけてきた力士に対する賛辞、言いたいことをはっきりと、嫌みなく言ってくれる北の富士さんにツイッターが盛り上がることがよくあります。
反対に舞の海さんはその後の取組ですぐに覆される技術論や、何を言いたいのか良く分からない日本人論で、話題にはなるけれどいまいち共感できないことを言います。自分が相撲に対して何を考えているのかを図るバロメーターなんじゃないかと最近は思っています。
その他、最近面白かった解説者には雅山、現在二子山親方がいます。大関陣への厳しい目線は、大関にあがりながら怪我で陥落、その後も関脇で活躍し、一度は白鵬と優勝争いをしたり、若手の壁としても存在感を発揮した、様々な経験が感じられる説得力と気概に満ちた解説でした。
北勝力、谷川親方も独特な語り口で面白い解説です。3年前まで現役だったこともあり、今もまだ対戦経験のある関取が多く、自分はどのようにその力士と対戦したのか、という過去の研究成果は興味深い。特に現役時代はそんなに話すイメージじゃなかったので、そのギャップがあるのかもしれません。
人気力士だった高見盛、現在は振分親方も解説に上がりますが、これはまったく現役のころと変わらない、朴訥な解説です。
琴錦、秀の山親方、あ、今は中村親方。この人も舞の海、北勝力と同じく技術論を語るタイプ。好きな人は好きだと思います。
あとアナウンサーについても。
アナウンサーは最近いろいろ変わっていて分からないのですが、刈屋さん、藤井さん、吉田さん、大坂さんあたりがぱっと思い浮かびました。
そういや、太田さんとか白崎さんとか三瓶さん、船岡さんもいますね。調べていたら岩佐さんとかいたなあ。今は担当が違うようですが、印象に残っている。
刈屋さんは注目の一番に対する盛り上げがうまくて、先場所も逸ノ城と稀勢の里戦を担当し、制限時間いっぱいになった時「怪物の進撃を止められるか!?」と煽り、すごい緊張を感じました。さすがアテネ五輪の体操金メダルの実況アナ。
藤井さんと吉田さんは関脇で二ケタ勝つとすぐに「大関獲り」をあおる人たち。あんまりあおりすぎで、たまにどうなの?と思うけど、昇進もムードがないとできないので、まあいい人たちです。
大坂アナはなんか大柄で、放送席が狭く感じるけど、言うことがまともで、解説者が解説しやすそうな印象。あと最近は北の富士さんと仲良さげで、楽しそうに掛け合いしているとニヤニヤしてしまう。
アナウンサーの顔も覚えていくと、国技館は狭いので廊下ですれ違うこともあって、芸能人じゃないので話しかけるわけじゃないけれど、あ!ってなれますよ。
テレビの見どころの大半はアナウンサーと解説者によるお話の醍醐味なので、そこを紹介できたので、ひとまず良しとします。1万2千文字も書いてるよ・・・。
最後に録画場所(録画したのを見返す)とアプリ場所(アプリで観る)について書いて終わります。また、話が長くなるんじゃないだろうか・・・。
録画についてはコツだけ。
たぶんみなさん「30秒スキップ」という便利な機能がついていることと思います。本来はCMを飛ばすための機能ですね。これを多用します。上手いことやれば2時間が20分程度になります。
というのも、幕内の取組は20番程度。取組の中身自体は平均して1分程度。だから間をうまく飛ばせば20分です。
間をうまく飛ばすコツは「制限時間いっぱい」を察知すること。
30秒スキップの間に聞こえるアナウンサーの口調を逃してはいけません。もしもまだ解説者が話している、あるいはアナウンサーが解説者に話を振っているところだとまだ時間に余裕があります。たいてい、時間いっぱい前はアナウンサーが話をまとめるからです。
制限時間いっぱいになると、会場の雰囲気が変わります。力士の顔にも気合が入り、観客の雰囲気もそれまではのんびりと酒盛りをしていた様子から最後に声援を送ろうと声をかけ、盛り上がります。
30秒スキップの合間にその雰囲気を察知してください。
とはいえ、それはむずかしいので二つほどチェックポイントをご紹介します。
一つは行司さん。行司さんは制限時間前だと体を横に向けています。正面から見て左側、つまり東側に顔を向けています。
これが、制限時間いっぱいになると、正面を向いて、軍配(手に持っている大きなうちわみたいの)を面に返します。
なので、行司さんが正面を向いていたら30秒スキップを押す手を止めましょう。押しちゃうと、次の瞬間勝負がついていたりします。
あとは、タオルが重要です。房の下、塩を取るところにいる力士がもし、タオルで顔や体を拭いていたら制限時間いっぱいです。30秒スキップを一回だけ押せば、もう取組直前です(北太樹の場合はもう一度くらい30秒スキップを押せる、経験上)。
反対に、塩を取るだけだったら、まだ時間いっぱいではありません。
タオルってなんのこっちゃと思われるかもしれませんが、制限時間いっぱいになると、塩のところにいる呼出さんがタオルを渡してくれることになっているのです。
で、土俵で手をついている力士の後ろが映り、塩の桶の取っ手にタオルが置かれていたら、これまた制限時間いっぱいです。絶対30秒スキップを押しちゃいけません。もう、すぐ始まります。
というのも、呼出さんはタオルを桶の取っ手に畳んで置いておくからです。桶の取っ手に物が置かれていなければ、まだ制限時間ではありません。
この二つのポイント、行司さんとタオル、に気を付けて、30秒スキップで行き過ぎることのないよう(行き過ぎると巻き戻しで余計に時間がかかる)、録画場所を短時間で済ませてください。
夜の1時半くらいにやっている再放送は、そういう手間なく取組だけを淡々と放送してくれるし25分なので、まあ、そういう苦労はないのですが、なんせ1時半は遅いので、早送り巻き戻しを駆使して短時間でまとめるのがいいと思います。
待ったがあったら、カットなしでそれを観られるのも重要です。待ったで立ち合いが合わなかったことを再放送なんかではカットしてしまいますが、勝負はそこから始まっているのですから、観ないよう観られた方がいいと思いますよ。
アプリ場所での観戦ばかりでは、あまり良くない、という点もそこにあります。
結局待ったをカットしてしまう。あと、取組が正面からの定点カメラなので、廻しをつかんでいる位置が分かりません。また、力士、観客の息遣いが分かりません。
過去の取組を見直すには簡単で、網羅性があるので、アプリ自体はおすすめです。
9月は国技館で、このアプリの有料会員限定の抽選会に参加し、白鵬の湯呑を2個もらいました。
会場の雰囲気を知る、お気に入りの力士を見つけるには、テレビでだらだらと観るのが一番。取組だけをさっささっさ観るのは、30秒スキップを駆使しようがしまいが、記憶に残らないので、お勧めできません。
暇な休日一日でいいので、3時から6時の間、テレビをつけっぱなしにして、他に何かしながらでもいいから、相撲を観て、顔の良しあし、お尻の良しあし、なんでもいいので予習してお気に入りの力士を見つけてから1月場所を楽しんでほしいと思います。
相撲って、歴史が長いので、年上の人と話すとすぐに昔の誰それが、とかって言うんですけど、結局は今を観るのが楽しいので、今の相撲を楽しんほしいと思うのです。
毎日何かとせわしないけれど、2か月に一度、15日間のお祭り、今から11月を楽しみにやっていきましょう。終わり。