Nu blog

いつも考えていること

詩「煩悶」

通学路から 一本入った道の交差点で 君を待つ 電信柱に背中を預け 本を読む 寒くもなく暑くもない五月 昨日降った雨の作った水溜りから 春の匂いが立ち上っている カーディガンの袖を捲り 七分丈にしている 君があと どれくらいで来るかわからないから 物語…

日記

最近、中原中也のことを考えていた。 中也は三〇歳で死んだ。 渋谷や下高井戸、高円寺や西荻窪などに住んでいたことがあるという。最近の自分の行動範囲と近くてドキドキする。 中也は文士同士の付き合いの中でたくさん悪態をつき、絡んだ。故郷からの仕送り…

詩「明日の練習」

小さな餃子を百個食べる ラグビー選手 膝の裏から日差しの匂いを立ちのぼらせて 明日の練習のことを考える ベランダから夕日を眺める サッカー選手 雨が降るねと好きな子にLINEして 明日の練習のことを考える ピアノの下の隙間に落ちたパズルのピースを…

日記

何年かぶりに風邪を引いた。微熱、腹下し。コロナも気になったが、受診したら「風邪やね」ということで、薬を飲んだらすぐ楽になった。よかった。まだ病み上がりで、どことなく本調子ではない感じに、年齢を感じる。子供の頃なら、風邪の翌日も走り回ってた…

詩「朝の呼びかけ」

ねえ実は ぼくだってずっと不安なんだって 言えないなあ このやり方で 洗濯機や電子レンジの メンテは十分なのかとか 来年の今頃には 我が家は埃まみれなんじゃないかとか そんな程度の不安だけど 一秒一秒 欠かさず 抱えてる 漠然とした不安からは もう目を…

日記

① 柴田聡子のライブに行った。inFIRE、つまりバンドセットの柴田聡子を見るのは、三年ぶり。めちゃくちゃかっこよかった。まさかアンコールで「しばたさとこ島」を全部弾き語るとは……。 いまさらながら「ようこそ」の「ひとりぼっちのふりしてたけど そんな…

詩「夏」

十年前に死んだ犬に鼻の頭を舐められた べろのざらつきとよだれのあたたかさ 夢だねえと母に言った 母もまた十年前に亡くなっているから みんな久々に会えたねえと僕は言った 先週は雨続きだった 明日からは夏 と天気予報 去年着てたTシャツを 今年も着よう …

日記

いろいろありまして、前から買いたいぞーと思ってたら本をたくさん買ったんです。 オセアノ号、海へ! 作者:ボワロベール,アヌック,リゴー,ルイ アノニマスタジオ Amazon ナマケモノのいる森で 作者:ソフィー・ストラディ アノニマ・スタジオ Amazon カステー…

詩「記憶」

ソファに横たわり 眠った夕暮れ 母のかけてくれた毛布のぬくさ 青みがかった夜の終わり 霞がかったおぼろげな記憶 生きているようで 死んでいるような 不確かさと不確かさの間 かろうじて勤務し かろうじて米を食べ かろうじて劇に興じる あなたの声が聞こえ…

日記

4月末から5月頭、寒い日が続く。こんな日が続いた挙句、いきなり暑くなるのだろう。何回もそんなことをやってる。 ダミアン・ハーストの桜を見た。正直なところ、何が何だかわからなかった。会場の親子連れやカップルらは「私はこれが好き」「一番色鮮やかだ…

詩「待機」

ショッピングモールの駐車場の途中にショッピングカートが放置されていて真夏の光を浴びて気持ちよさそうショッピングカートがショッピングしていないのだからサラリーマンの私がサボっているみたいなもんでそりゃあ大抵は気持ちいいだろう ハトが羽なんてな…

日記

環境の変化に伴い、通勤が地下鉄から地上を走る路線になり、職場までの道のりも地下道から繁華街を通り抜けるルートへと変わった。朝の繁華街は、私とすれ違って駅へ行く若者らの余韻に満ちて、遙かなる希望を感じさせられる。夜の繁華街もまた活気づいてい…

詩一篇「現在地」

○現在地 もう大人だというのに もし宇宙が無限なら 夜空は星の光で満たされる というパラドクスを 理解できないでいる 昔のことを思い出そうとしても 手のひらからこぼれて消えてゆく 苦笑いが取れない顔になった 三つの扉から 一つを選ぶ 後の二つのうち ハ…

日記

無料公開中のゴールデンカムイを読んだ。めちゃくちゃ面白くて、数日で一気に読んでしまった。たくさんいるキャラクターひとりひとりが魅力的な上に、敵味方が入れ替わり、混じり乱れるエキサイティングなストーリー展開。痺れる…。お気に入りは谷垣ニシパと…

詩「断片」

今ここにいることの 宙ぶらりん 宇宙に浮いてる地球 地上に浮いてる私 遅刻するより早く着いて そしてあなたを待っていたい 早く着くより少し遅れて そしてあなたに一言軽く謝りたい 悪びれることなく 美術館の入り口まで 引っ張ってあげたい いつかの 書道…

日記

吉祥寺パルコでやっていたZINEフェスティバルに行く。前日の寒さから一転、暑い。いろいろな人の話を聞く。面白い。日記本を買う*1。そして、Good Movie Clubという映画好きな人たちのラジオを知る*2。家に帰って、『花束みたいな恋をした』について話す回を…

詩「風」

雲ひとつない青空に下半分欠けた月の見える朝大きな犬がてとてとと散歩するのとすれ違った狼のような耳をして従順に飼い主のそばを歩いてた私の前をゆく翁が落ち葉を踏みながら石段を登っていたひとつまたひとつ登る格子柄のジャケット羽のついた帽子翁の尻…

日記

こんなにも書くことがないとは。 サントリー美術館の正倉院展にもBunkamuraのミロ展にも行ったのになあ。TOTOミュージアムのSANAA展も観た。 山下賢二の『ガケ書房の頃 完全版』を読んでじわああっとじーんときたりもしたし、川上未映子の『あこがれ』もよか…

詩一篇「旅」

○旅 僕らは突然旅に出る 西の方へ 新幹線に乗って まじめくさった顔をして 腹の上で手を組み 苦悶した表情で眠る 静岡を超え 名古屋を過ぎて 京都に着いた 風呂に入って 食って寝る 旅先で見る夢 空を飛ぶ夢 祖父母と蟹を食べる夢 見慣れぬ朝 大きな窓 乱れ…

日記

生活が落ち着いたので、不意に旅に出た。お目当ては2月2日に開館したばかりの大阪中之島美術館。開館まで30年を要した、超難産な美術館。いたるところに「財政難」への怨嗟が書き連れられているのが印象的。しかし、何千点もの作品と立派な箱ができたのだか…

短文

お父さんがこの前、聞いてた音楽。 風邪が治った日の、朝。 水を飲んで、お風呂に入る。 まだ十五年しか生きてない私にも、よく分かる、あの感覚。 「お父さん、あの風邪の歌、良いよね」 お父さんは、あれは私の生まれる前、新型コロナウイルスというものが…

日記

一ヶ月勉強して、ちょっとした資格の試験に受かった。試験会場が異様に遠く、もう一回あそこまで行くのは避けたかったから、安堵エンド嬉しい。 無事に引越しした。 50箱の段ボール。 密封、そして開封。疲れた。 二週間くらい段ボールに囲まれて生活した。…

詩一篇「雨の日」

○お告げ 二〇分後に雨が降る 君にそう告げられた 少年は雨雲に取り囲まれている 洗濯も食事もこれからの朝 家で一番汚い部屋の 見せ合いっこしようよ バカにしないって互いに約束 恥ずかしがるのもお互い禁止 雨溜まる我が家で溺死 本棚を抱えて 安らかに眠…

日記

引越しをする。 六年前に引っ越した時もまずは本の整理からだった。 あの時は二百冊くらい売ったんじゃないか。そのあと実家に置いてた絵本や雑誌などを持ってきたから、結局総数は減らなかった。 それから毎年百冊くらい売っている。その上、年々買う冊数は…

詩二篇「朧げ」

○不明 ファミマとセブンとローソンの 違いがわかっていない どこに行けばからあげクンやファミチキが買えるのか いつまで経ってもわからない コーヒーの買い方もわからない 誰に何を頼めばいいのか 見当もついていない タリーズとドトールとサンマルクの 違…

日記

相撲とラグビーを観なあかんので忙しい。 相撲。 主役は御嶽海。審判部、伊勢ヶ濱親方からは全勝優勝で大関という「そら無理やろ」なお題を出されるもの九連勝。負ける気がしない、かちかちに硬い相撲、という具合。玉鷲に勝ったところがすごかった。北勝富…

詩二篇「場所」

○Anywhere 抜け目なく生きる人ほど 損したことを見つけられて 悔しい思いをたくさんする。 ぼんやりと生きていれば 損したことにさえ気づけずに そんなもんかと笑ってられる。 抜け目なく生きる人が 臍を噛んでいたとしても ぼんやりと生きている人も 知らず…

日記

年末年始は地図を見ていた。東京都の地図、マップルの冊子。 県別マップル 東京都 道路地図 (ドライブ 地図 | マップル)昭文社Amazon 昨年の暮れにバタバタあって、転居を考えないといけなくなった。それで、私はおかしなやつなので、物件情報ではなく、東京…

詩「断片」

鮮やかな色 はやかったり おそかったりする線 スイカの絵 自分の舌を 焼いて食べたら 舌がないから 味がわからん おしっこがしたくなって 目が覚めた 放尿の心地よさ 今日も一日が始まる 僕の気持ちの 薄い薄いもの

日記

今年のことをちょっと振り返ってみようと思う。 3月、2年かけて勉強してきた学芸員、司書の資格を無事取得できた。 博物館、美術館、図書館に対して、これまでも好きだいう気持ちはあったが、より一層思いを強くするとともに、社会施設設置の根拠である法律…