Nu blog

いつも考えていること

スケッチ(弱冷房車)

駆け込んで乗り込んだ車両が、弱冷房車だったから、汗が止めどなくあふれて、ワイシャツが腕にぴたりと張りついた。車内はすでに、誰かのシャツから漂う生乾きのにおいが充満していた。車窓から見える、夏の陽に照らされて光る民家。パリパリに乾いた洗濯物…

そもそものオリパラ論

オリパラの開会式の作曲メンバーに小山田圭吾がいることが唐突に発表されるとともに注目を集め、過去のいじめが取り上げられ、批判を集めてる。 小山田圭吾が清廉潔白な善人であるなどと誰も言えないわけだが、オリンピック中止論にまた一つ根拠を与えたよう…

スケッチ(引き込まれる)

「引き込まれないようご注意ください」という電車内の注意書きを見かけて、もちろんそれは自動ドアに手や荷物が引き込まれないよう気をつけろという意味なのだけれど、「ああ、もう私は引き込まれてしまったなあ」とユウトのことを頭に思い浮かべてしまうの…

TWICE「Taste of Love」

TWICEのミニアルバム「Taste of Love」が良い。 どうも周囲にいるかねてからのファンの方々にはあまり評判がよろしくない様子であるが、何度聴いても良いものは良い。 リード曲「Alcohol free」は楽曲、ダンス、衣装、どれも80年代プレイバック的で、率直に…

スケッチ(あの日)

朝目が覚めた時にいきなりそのネットゲームのことを思い出した。 そのゲームは架空の村の住民になって、部屋を構え、交流するのが主目的のまったりとしたゲームで、交流することで架空のお金を貯めて、そのお金で家具や服を購入するのが醍醐味なのだった。 …

多読

多読、というのを知ったので、ちょっとやっている。 多読とは、語学学習法のひとつで、その言語に慣れるために辞書を引かず、わからないところは飛ばして、楽しみながらたくさん本を読む、という学習法のことである。英語に限るものではないが、一般的に英語…

スケッチ(預ける10シーン)

1.@美術館 コインロッカーに荷物を入れて、受付の人にチケットを渡し、半券をもぎってもらう。 2.@オーケストラのコンサート会場 フロントでコートと手荷物を預け、心地よい音楽に身を委ね眠気に負ける。 3.@バイト先 店長が銀行に行くから、「山口さん、…

大塚英志『「暮し」のファシズム 戦争は「新しい生活様式」の顔をしてやってきた』

モーニングショーという番組をちゃんと見たことはないのだけれど仕事する直前などにテレビがついてて目にすることがある。いつもコロナのことを話題にしていて「政府しっかりやれ」「国民もみな危機感が足りない」「外国はすごい」というようなことを言って…

スケッチ(越境する10シーン)

1.海外へ旅行する。入国手続きのカウンターで、大柄な黒人が無愛想な顔でこちらを睨み、二言三言話すとスタンプを押してくれる。 2.荷物の重そうな人に声をかけたら、じゃあこれを持ってくれないかとその荷物を渡され、階段を登らされる。 3.隣の同僚の資料…

Homecomings『Moving Days』

Homecomingsの新譜『Moving Days』がとても好きだ。 いいバンドらしいとはうっすら知っていたけれど、これまで何曲か聞いてみてピンと来ていなかった。単に私のリスナーとしての力量不足である。そんな力量不足の私にもわかるようにしてくれたのか、それとも…

スケッチ(滲む10シーン)

1.水彩絵具で絵を描く。 2.涙が溢れて視界が滲む。 3.夕日で空が滲んで、赤ともオレンジとも黄色ともつかない色。そして反対側からやってくる青く暗い夜。 4.車のフロントガラスに雨が降りつけて、ワイパーがそれを拭き取る。拭き取ったそばから振り付ける雨…

「在宅勤務率公表」施策は意味があるのか?

1.序論 2020年以降の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、2020年4月7日、7都府県に対し緊急事態宣言が発出され、対象地域での「接触機会の8割減」、そして在宅勤務・テレワーク等による「出勤者数の7割減」などが求められた*1。その後、特定警戒地域やま…

スケッチ(はみ出る10シーン)

1.ラーメン屋の行列からはみ出て、一番後ろから並び直すことになる。 2.ワイシャツがズボンから出ている。 3.ハンバーガーの反対側から具がはみ出て落ちる。 4.電車が満員で、乗れない。エレベーターやエスカレーターの列とか。予約なしのレストランが満員だ…

大・タイガー立石展

千葉市美術館の『大・タイガー立石展』に行った。緊急事態宣言で都内の美術館が軒並み休館させられたので、都外の美術館に人が集結しているんじゃないかと思ったが、そうでもなかった。 タイガー立石、立石大河亞、あるいは立石紘一。絵本『とらのゆめ』(福…

スケッチ(帰路)

雨あがりのしづかな風がそよいでゐた あのとき。叢は露の雫にまだ濡れて 蜘蛛の念珠も光つてゐた。東の空には ゆるやかな虹がかかつてゐた。僕らはだまつて立つてゐた。 肌寒さが心地よい夕暮れで、夏はもうすぐそこだった。長袖で過ごす夜は今日が最後だろ…

無意味

最近相撲について書いてないよね、なんて思っているのは僕だけでしょうが(そもそも読んでいる人がほとんどいないんだから!笑)、なぜかと言えば、あんまり相撲が楽しくないから。ライフワークだ、などとほざいておきながら、それはどうなのと思わなくもな…

スケッチ(誰も……)

だれも 見てゐないのに 咲いてゐる 花と花。だれも きいてゐないのに 啼いてゐる 鳥と鳥。 土曜日。大手町のあるオフィスビル。つい何時間か前までは、大勢の人が行き交っていた巨大なエントランスホールも、デ・キリコの絵のような静けさ。 誰も乗っていな…

デヴィット・グレーバー『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』感想

「異常空間Z!」(by 向井秀徳)と叫びたくなるこの頃である。しっかし、向井秀徳は何年経っても透明少女を迎えに行くのだから、偉いよなあと思う。ピュアという言葉でしか、僕には形容でき得ない。 さて、話題の書であるデビット・グレーバーの『ブルシット…

スケッチ(ホタル)

一人はあかりをつけることが出来た。そのそばで 本を読むのは別の人だった。 夕焼けに照らされながら、長く延びる影と一緒に家に帰った。「おかえり」と真知の声。リビングを覗くと、本を抱えた真知の黒目が上下に動いていた。部屋の中が一瞬、真っ赤になっ…

笑顔からの撤退ー『99%のためのフェミニズム宣言』

『99%のためのフェミニズム宣言』(2020、人文書院)を読んだ。 冒頭、シェリル・サンドバーグの『リーン・イン』を「企業(コーポレート)フェミニズム」「資本主義の侍女」と喝破し、コーポレート・フェミニズムが「"男性"による搾取や抑圧」を「支配階級…

スケッチ(ある一日)

一人の人間の一日には、必ず一人、「その日の天使」がついている。 ある日の僕は、寝起きは悪いし、食パンは切らしているし、コーヒーのストックもなくて、満員電車に乗り込んだら次の駅で押し出された上に乗り込めなくなったし、財布を忘れて昼飯が食べられ…

澤田知子『狐の嫁いり』@東京都写真美術館

澤田知子『狐の嫁いり』@東京都写真美術館を観た。 澤田知子を知ったのがいつだったのか覚えていない。2000年代に10代を過ごした者としては、たぶん何かの雑誌でその名を目にしたのだろうと思う。だから、東京都写真美術館で個展が開かれるのを目にした時、…

スケッチ(ひといきれ)

街は面白い。田舎よりも面白い。 阪神地区の住宅地で、マンションとマンションの間にある公園を遊び場に走り回っていた子どもだったが、三宮に連れられた小学三年生以来、街の虜だった。たくさんの人が往来し、服と服が擦れ合う様に魅せられた。大人たちがし…

ミツメ『Ⅵ』

この一ヶ月、ミツメばかり聴いていた。3月24日、2年ぶりに発売されたアルバム『Ⅵ』だ。 実を言うとミツメの歌詞を、文字としてちゃんと読んだ記憶がない。たまに何を言ってるか気になって、読みはするのだが、すぐ忘れる。 でも、歌える。何度も聴いて、歌詞…

スケッチ(噂)

その年、僕の通っていた高校は二つのことで話題になった。 一つは初めて甲子園に出場したことだった。我が県では、これまで十何年間連続でF高が出場していた。ここ数年、県大会決勝は毎年F高と我が校の組み合わせで、いつも負けていたから、大変な盛り上がり…

損得勘定ー『存在しない女たち』の感想

キャロライン・クリアド=ペレスの『存在しない女たち』を読んだ。副題は「男性優位の世界に潜む見せかけのファクトを暴く」。 データにおけるジェンダー・ギャップをこれでもかこれでもかと示す本書。 なぜそんなギャップが存在するのかという分析には踏み…

スケッチ(恥を重ねる)

人間にはだれでも、恥ずかしくて人に言いたくないことの一つや二つや百や二百はある。 物心ついた時から恥ずかしいことばかりで、記憶というのは恥の集積、良かった思い出はことごとく消え去って何も残っていない。 幼稚園の頃、先生に褒められている青木く…

『ルポ百田尚樹現象』の感想

雑誌「SPA!」の熱心な(?)読者としては、2年前に『ゴーマニズム宣言』が復活して以来、小林よしのりという人が何を考えている人なのかはよくわかるのだが、どういう人なのかはよくわからんなーと思っていた。 というのも、私の先入観では「小林よしのり=…

スケッチ(酒)

学校の漢文の授業の最中に同級生のSが手を挙げて質問した。 「先生は沙上に臥すほどワインを飲んだことはありますか?」 授業を撹乱してやろうという意図見え見えの質問だったが、先生はうーんと唸り、しばらく考え込んだ。その顔からは、答えは「ある」だが…

シン・エヴァンゲリオンの感想

エヴァンゲリオンを観た。 一言で述べるなら「ありがとう、全てのエヴァンゲリオン。おつかれさま、庵野秀明」である。みなさんそうではないだろうか。 たくさんの観点から語ることのできる重層的な物語を圧倒的な映像の面白さ、楽しさでまとめあげた。話題…