Nu blog

いつも考えていること

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

夏のウロウロ

本当ならば学芸員資格取得のための博物館実習を受けていた夏、私は何をするでもなく彷徨っていた。 泊まりでの実習が予定されていたため、新型コロナウイルス感染症を懸念して、延期となったのだ。延期後の開催時期は定かではない。 長い休日を美術館とサウ…

フィールド・ノート(第8話)

没入する感覚があって、人が通り過ぎると目の前のカチカチを押す、という流れに自分の能力が高まり、目と脳がセンサーとなり反応があれば手がカウントする機械になったような、自信みたいなものがみなぎってくる。見ているところと自分の存在以外は後景とし…

10年ぶりに東浩紀を読む

2008年に大学に入ってすぐ、東浩紀の『ゲーム的リアリズムの誕生―動物化するポストモダン2』が流行ったのを覚えている。宇野常寛の『ゼロ年代の想像力』も発刊されて、「批評」ブームが来ていた。 どこの大学でも、頭でっかちな連中の間はだいたいそうだった…

フィールド・ノート(第7話)

ベッドの悪い方から起きたら機嫌が悪い、という話を子どもの頃に読んで以来、朝起きた時になんとなく不機嫌なことがある度、それを思い出すのだけれど、どうしてその対処法はないのだろうと続けて思ってしまうからますます機嫌が悪くなるのだった。 今朝のフ…

消費者でしかない自分を肯定できるか

私の我慢はいつかどこかで報われるはず、と信じたい気持ちはよくわかる。私もそう思う。でも、我慢してるだけで何かが動いたことってない。幼い頃家族や歯医者さんに褒められるくらいのことで、それ以外の人が我慢したことを褒めてくれたりはしない。 そのう…

フィールド・ノート(第6話)

日曜日の十二時半頃、フカミと聡子は椅子S席西側六列目三十七番三十八番に座り、ゴーゴーイチの蓬莱の豚まんじゅうを食べていた。フカミは聡子に対して何度も、四横綱土俵入りが観られなかったこと、冥途の土産に観たいこと、観たからと言って大したことは…

青森の思い出

七月の四連休、青森を訪れた。 六月中旬くらいのお出かけ解禁感のある頃に予約していたし、あんな直前にキャンセル料がどうのこうのと騒がれても、困る。 ゴートゥーがどうとかこうとか言う前に「出かけたいし出かけよう」と思っていたので、世上や賢明な人…

フィールド・ノート(第5話)

そろそろ春になってもらっても構わんぞ、というような晴れの日があったかと思えば、恐縮ですがまだまだ冬ですよ、というような寒い日に戻ったり、それを春へと向かう足取りだと前向きにとらえられるほどポジティブではないので、フカミは一回あったかい日に…