いまさらかもしれないが、KID FRESINOを何度も聴いている。特に「Saleve feat.JJJ」と「by her feat.茂千代」。
「by her」の歌い出し「あなたはメタファー」で引き込まれる。フックである「I keep myself,I keep myself. And you, and you, and you」にもグッとくるし、KIDのラップ「The secret eye contact で俺はやられた。Make you believe in me タトゥーを彫った。代わり映えねえってことは最高なことさ」とか「俺が生まれた時、君はまだ夢の中。俺が死ぬ時君は?」「人と違う目の色をしている君は、人とは違う世界が見えてるのか。なあ、You like it? How about this? You don’t like it? You go in? Where? Far from here? It’s all about her feelin.どこへだっていつだって行きてえように、my baby」という優しい語りかけ、トラックの美しさにも導かれて涙が出る。ぜひ、聴いていただきたい。
そうやってKID FRESINOを聴いているうちに、久々にBuddha Brandを聴いた。KIDのラップにはどこかブッダの気配を感じる。ゴリゴリしつつ、ユーモアと優しさを詰め込んでいるところだろうか。久々に名曲「人間発電所」を聴いたが、今でも暗唱できる自分に驚いた。もちろん下手くそにだが。もっとも好きな曲は「ブッダの休日」。あの作品ののんびりした雰囲気。「自然のリズムつかみ俺ら行くのさ」。生きることそのものをまるごと肯定したような、ダラけ方。
昨年はChelmicoの「爽健美茶のラップ」が良かった。あの作品も現実を肯定する、良い加減な人たちによる前向きソングであった。前のアルバムにあった「Love is over」などもいい。ちょっと前はSUSHI BOYSの「Yossy」そのほか、現世的郷愁漂う作品群も生活肯定、人間賛歌を感じて、ずいぶんツボであった。やけのはらの「relaxin’」もか
スチャダラパーであれば「サマージャム’95」や「From 喜怒哀楽」あたりが好きだし、振り返ればつまりはDragon Ashの「Grateful Days」が好きだったりする。どうも元気であったり、攻撃的でない、悲しげなラップが好きなのだろう。そういえば、スチャダラパーと小沢健二の「今夜はブギーバック」こそ、それだ。「心のベスト10第1位はこんな曲だった」、歌詞だけ取り出せば、まったく暗い歌詞である。
DJみそしるとMCごはんの「ジャスタジスイ」や「のり弁」、安藤裕子とのコラボ作品「霜降り紅白歌合戦」も切なさがあって良い。
複製音楽には高揚だけでなく、静謐さも求めたい。ライブでも、中盤にそういうしっとりした時間があるでしょう。ぜひ、これからも良作を期待したい。