Nu blog

いつも考えていること

相撲で接待

去る五月二十六日、大相撲夏場所千秋楽、アメリカの大統領ドナルド・トランプ氏が日本の首相安倍晋三氏に連れられ、相撲観戦においでなすった。
結び前五番、前日十四日目に優勝の決まった朝乃山の取組からの観戦である。
升席を買い占めたとか、椅子を置いて観戦するらしいとか、いろいろな事前情報があったものの、実際は「向正面はガラガラ、高い椅子に腰掛けて後ろの人が見えない」といった状態ではなく、周囲数席の買い占め及びソファみたいな椅子に腰掛けての観戦であって、周囲をSPが突っ立っているのはキテレツだったし、入場に際して進行が止められたりもしたが、割合めちゃくちゃな感じではなかった。
 
椅子に座るトランプ夫妻及び安倍夫妻を見て、ようやくなぜ貴賓席ではダメだったのか、視覚的によく分かった。
つまり、安倍首相はトランプ大統領の横に座っていたかったのである。
通常のように貴賓席に座ってしまうと、そこは夫妻のみとなり、自分たちの居場所がない。
「接待」していることをしっかり覚えておいていただくために、ただ相撲観戦してもらうのではなく、横に座っていたかったのだ。
それを「情けない」と取るか、「肝を押さえている」と取るかは知らない。
私は少々「情けない」と思った。
 
トランプ氏が仏頂面で観戦していたことで、相撲ファンからの「楽しんでいないのではないか」「だったらその升席、こっちに寄越せ」など批判的な意見が散見された。
仏頂面でも楽しんでいる人はいるし、トランプ氏は朝早くからゴルフしてたんで疲れてたのかもしれないし、そういった批判で喜ぶのは勇み足だと思う。批判したい思いが先走っている。
にしてもスケジュール的にはスポッチャ行ってカラオケ行って飲み会みたいな、クソ大学生みたいな過密さで笑ってしまう。しんどいって!
トランプ氏が楽しんだか楽しんでないかは置いておいて、アメリカの人々がこれで相撲を知って、楽しむようになればいいなと思う。もしかしたら、何人かはいるかもしれない。そしていずれ、入門する力士がいたりしたら、素敵じゃないか。いなくってもファンが増えたら、それだけで喜ばしい。
 
升席に椅子を置いたり、土俵に上がるための特注の階段を用意したり。
相撲は、時の権力者におもねることで続いてきたという側面もあるから、こうして政治的に利用されることに、私は特に違和感はない。むしろ、どんどんやれ、という感じだ。
権力者のわがままでちょっとした伝統くらい、ひょいひょい柔軟に変えるのだから、土俵に女性をあげてもよくしたり、外国籍の親方を認めたり、そういう対応もしてくれたらいいのに。いつか、日本の首相、アメリカの大統領が女性になったら・・・、なんて思う。
 
いずれにせよ、大関の弱い場所は面白くないので、高安と豪栄道には猛省を促したい。鶴竜は可愛いし、前半がんばってたのでいいんです。