Nu blog

いつも考えていること

笑いが人を傷つけるのはしょうがないことなのか?

めちゃイケ」の最終回をながら見したのはもうずいぶん前のこと。確かに人をボコボコにしたり、わざわざ痛い目にあったり、やってることは今改めて見るとくだらないを越してつまらないものも少なくない。にしても「クイズ濱口優」はおもしろかったなあ…。

 

ジャルジャルのインタビューが少し話題になってた。

www.huffingtonpost.jp

「人を傷つけないネタは、『ピンポンパンゲーム』以外なかった」と豪語するものの、今ジャルジャルのホームページに載せられたネタを見たら、人を傷つけてるネタが多いとは思えない。

jarujaru.com

たとえばぼくの好きなネタに「しりとり」があるのだが、バイトは負けたら「時給600円」、店長が負けたら「お店」を賭けてしりとりするだけの単純なネタである。なんなら、語尾を「す」ばかりにする「す攻め」をするなど、なんともジャルジャルらしいしつこい構成なのだ。それは大変に知的で、且つ滑稽で、大変に良質な笑いを提供していると思うのだ。「人を傷つける」ことで笑いを起こそうという野卑な目論みを感じない。そういう「人を傷つける」笑いは、それを感じさせる意図が明らかにあるものだ。ジャルジャルは本質的にそうした笑いを狙っていないと思われるのだが…。

ジャルジャルめちゃイケに参加するとなった時、まったくしっくりこなかったものですが、そのしっくりこなさを本人らも世間も抱えているのだろうか、などと勝手なことを言ってますね。しかし、上記インタビューでは「なんやったら、今度はバリバリ人を傷つけたろって思ってるくらいです」などとむやみに攻撃的な方向のものの言い方をする。様々な嘘をついてあえて混乱を生じせしめてきた2人であるから、このインタビューもビッグマウスを演じた一つの「ネタ」なのかもしれないが、ある程度本音が混じっているのであれば、何か晴れることのない鬱屈したものを感じなくはない。

ジャルジャルの芸は、お笑いに知的な興奮を生じさせることにあるように思う。黒いシャツに茶色のズボン。この衣装の匿名性、社会的な意味づけをなし得ないことに気づいただけでもジャルジャルはすごい発見・発明をした人達だと思う。匿名的悪ふざけの圧倒的展開。これを芸と言わずに何と言おうか。やっぱりぼくはジャルジャルのコントが好き、というか衝撃を受けた人間なのである。妙な虚勢を張らずに、良質な笑いを作ってほしいと思った。