izumishiyou's diary

いつも考えていること

ヤバイTシャツ屋さん『Galaxy of the Tank-top』

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ヤバイTシャツ屋さんを聴くと、高校生の時にマキシマムザホルモンを聴いていたグズグズした気持ちも蘇って、元気になる。
当時「ふざけてないところを見たことがない」と言われるほどふざけていると評されたことのある私ですから、ヤバTのふざけ方と真面目さにシンパシーを覚えるのです。

Wi-Fiあるから家に帰りたい」とか「喜志駅周辺なんにもない」とか「天王寺に住んでる女の子は終電逃した田舎の方の男の子を泊めてくれる」とか「パリピになりたい(なれない)」などといったハイセンスな歌詞と楽曲を詰め込んだ1stアルバムの熱冷めやらぬ2ndアルバム。
熱のこもった1枚となっているので必聴いただきたい。

特に好きな曲にコメントしてみる。

「ダンスオンタンス」の歌い方の向井秀徳感、超クール。

床一面にタンスを並べて音楽流してその上で踊ったら
もうタンスフロアやない?

と歌うこやまたくやと

そのあとどっかの誰かとしっぽりしけこみてぇ

と歌う向井秀徳に類似性を感じるのは偶然という奇跡でしょう。

前作でも「Wi-Fiあるから家に帰りたい」だの「実家はマジ便利」だの「アニメ見るから8時に起こせ」だの言っていたが、相変わらず家アンド睡眠が大好きな「眠いオブザイヤー」も素晴らしい。
「オブザイヤー」と言えば、穂村弘の「愚か者オブ・ザ・イヤーに輝いた俺の帽子が飛ばされて海へ」の一首を思い出してしまうが、これもまた奇跡的な偶然なのでしょう。

本アルバムでも出色の作品と言えるだろう「気をつけなはれや」は関西の男女にある伝統的な一つの形そのものだ。
織田作之助の「夫婦善哉」を引き合いに出して語るべき作品になっている。
あるいは、中島らものエッセイで知った言葉だが「どれ合い」という「関西弁の中でも汚い言葉のひとつ」をも思い起こさせる。
いわゆる「破れ鍋に綴じ蓋」であるが、これを「情わいてもうてる」と表現する秀逸さ。実にだらしない感じがしていい!
だいたい「新鮮味がほしい」だの「新しい恋がしたい」だのという理由で別れる時点でだらしないし、悲しくもないし切なくもないし寂しくもないし未練もないのに、「悲しい目に合わないよう気をつけろ」と思ってしまう非理性的、動物的かつ社会的な心の動き。
これはもう立川談志言うところの「人間の業の肯定」です!
ただ今後、30歳を超えたあたりで別れを切り出した側の男が「お前が一番心地よかった」ってよりを戻そうとして、女に「アホちゃう」って一蹴されるパターンが思い浮かびますね。
あるいは半年くらいしたら復縁して2年後くらい、26〜28歳の結婚ラッシュの最中結婚する方面とか。
ああああ、このくだらないのが素敵やん!

やけにかっこいい「Universal Serial Bus」は途中の転換点の疾走感がCMソングのようで可笑しい。爽快感抜群なのに、USBのことを歌ってるだけというヤバTの本領発揮と言える一曲。

「ハッピーウェディング前ソング」もやけに良い感じのメロディーなのに、歌詞はただ囃し立ててるだけという残念さが最高。
「入籍」という言葉を軽く使っちゃうあたりの軽薄さも現代の感覚をよく表している。
婚姻届はどちらかの家の籍に入る=入籍ではなく、新しく二人の戸籍を作ることなのだが、そういうのはあまりこだわっちゃいけないことになっていて、あえて妻のことを「嫁」と表現したりする20代〜40代男性のちょっとしたドヤ感とリンクするように思うが、こうやって指摘することそのものな「ウザい」「野暮」と捉えられる、という現代的感覚、ブツブツブツ…。
一方で人間関係を縛りつけない、ある種の軽さを象徴するような「キスからの入籍」という発想は面白い。
冗談であれ、結婚も離婚もありふれた人生の一つのイベントでしかなく、一生抱えなければならない重荷ではないと言ってくれているようです、そうでもないですか?

にしても「きっと2年以内に別れるけどー、イェーイ!」って歌うしばたありぼぼは頭おかしい(褒め言葉)。

メロコアのアルバムの3曲目」はとにかくかっこいい!…けど、メロコアって何?

「とりあえず噛む」の歌い出し

いやなこといっぱいあるよね めんどい事はやっぱり多いね
うまいこといかんことばっかりでへこむね

に、なんというか就職した感、社会に出た感、大人になった感をひしひしと感じ、その成長(?)に「アイドル性」を感じる。
生活は等しく、日々進んでゆくのだと思い知らされ、しみじみと仕事する。

前作では「流行りのバンドのボーカルの男みんな声高い」において、

4万円のレスポールと ヤフオクで落としたエフェクター
5万ぐらいのベースと3セットで1500円のスティック
楽器歴だけ異常に長い3人が集まった

と心情を吐露していたが、「サークルバンドに光を」もまたなかなかに激情的。

もうやめられへんところまで来てしまいました

もうやめようとも思わんところまで来ました

と叫ぶ彼らは無料ライブやPVやホームページのできを「大人が頑張ってくれた」というように表現することがある。
芸人やなんかの言う「大人」は規制をかけてくる存在だが(ex.大人の事情等)、彼らにとっての「大人」は協力者なんだと感じる。
そうした周囲の期待とともに、いつまでもネクストブレイクで、次はどんな歌を歌うのだろうかと早くも期待を持ってしまうが、先のことはともかく今、今の生活にフィットしたこのアルバムをたくさん聴くのだ。2月末、ライブ行きます。

最後に、肩幅の歌はわけわからんが、肩幅が広い人はなんとなく信用できる気がすることには同意です。

あ、あと、ドローン買ったのに飛ばせなかったのは本当に悲しすぎる。