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いつも考えていること

『ダンケルク』―とにかく家に帰りたい!

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IMAXで『ダンケルク』を観た。

感想は「疲れた!」「しんどい!」「戦争良くない!」である。

これよりも多くを語ることが必要なのかどうか、考えれば考えるほどに感想がその3つだけにまとまっていく。

 

映画は、1940年、第二次世界大戦の緒戦、ドイツが攻勢を続けていた頃のこと、ダンケルクという戦場からのイギリス軍の撤退を描いたものだ。

ダンケルクの戦い - Wikipedia

陸、海、空それぞれの視点、それぞれの時間軸で、撤退の様相が映し出される。

ネタバレがどうのこうの言う映画でもないので、しっかりと予習しないと、訳が分からなくなってしまうほど。

nlab.itmedia.co.jp

兵士たちとともに「帰りたい」「死にたくない」気持ちになる。IMAXが没入感を演出してくれているから余計にそう思える。背景事情を知らずとも、たぶん、ただただ帰りたくなる映画だろう。

しかし簡単には帰れない。船に乗れば助かる、と思って、頑張って乗った船が魚雷や空爆で沈没する。何が功を奏して生きて帰られるのか。神のみぞ知る。

帰り道、「お家に帰りたい」気持ちが高まってしまうのを抑えられなかった。

飛躍して言えば私たちが日々やりくりしている、生命を維持するのに精いっぱいな「生活」というやつも撤退戦みたいなもんではないだろうか。学校や仕事、家事に追われ、勝つことなく眠りへと撤退する。朝目覚めれば、また容赦なく戦争が始まる。歯を磨きながら、朝食を食べながら、着替えながら、家にいながらすでに「家に帰りたい」と思ってしまう。

 

ダンケルクを生き延びた兵士らはまた戦場に行くことになるだろう。なぜなら、これは撤退でしかないからだ。生き残ったのならば、また戦争へ行くことは必至だ。史実としても、第2次世界大戦はここから先さらに5年続く。ダンケルクで生き残った人々の運命はまだ戦争の手のひらの中にある。そう思うと、生き残ることの虚しさ、戦争の不毛さが胸を締め付けてくる。

しかし、先に述べたようにそれは日々を過ごす私たちそのものでもある。渦中にいる私たちには全体なんて見えやしない。日々の中で見えてくるのは目の前の船だったり(満員電車とか)、うなりをあげて爆弾を落としてくる飛行機だったり(機嫌の悪い上司とか)。生きて帰ってこられる保証はないし、生きて帰ってきてもまた次の戦場が待っている。殺伐と捉えれば、生きることは虚しく、生活は不毛なのだ。

それでも生き延びて、お家でぬくぬく、布団に入るリラックスした時間を求めて、ぼくは生きる。生活という戦争は比喩でしかなく、本当の戦争に比べれば全く楽だ。

今日も早くお家に帰ろう。明日も、明後日も。生きて帰ることが大切だ。そういう意味で、戦争は嫌だ。生きて帰れる保証のない状況に放り込まれるなんて…。 

 

その他、いくつか漠然と感想を書き連ねる。

・イギリス軍のコート、かっこいい

・「帰りの燃料を残しておけよ」という言葉に違和感を覚えてしまったのは、ぼくの中に微かにある「日本人らしさ」か

・ジャムパン美味そう 

・桟橋で見守っている将兵、かっこいい

・溺れて死ぬのは嫌だ

 

以上。