・SPECIAL OTHERS『SPECIAL OTHERSⅡ』
「ザッチュノーザ」の軽快さ、陽気さ、そして漂う孤独さは「誰に会う用事もなく、何をすることもない、天気の良い日曜日」を思わせる。「始まりはQ(9)CUE」はRIP SLYMEとのコラボレーション。RIP SLYMEは過去にKick The Can Crewと「10 Balls+2」ってのやってましたね。とても気持ちいいラップ。
・映画
眠れなかった夜に『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』と『突入せよ!「あさま山荘」事件』の2本をぱぱっと観た。
ひろしが靴下の臭いを嗅ぎながら思い出す走馬灯に、不覚にも感じ入ってしまった。庇護された子ども時代から人生を獲得していく過程、と言えるだろうか。大人になることの喜びを肯定的に描き出した2001年の名作。早15年以上前のこと。それだけの時を経てもなお、郷愁や懐古主義は幅を利かせている。しかし、「若さ」に価値を置く資本主義は「成熟」に向け、ゆっくりと姿を変えていくだろう。
「突入せよ」は権力側を肯定的に描いた作品、というか連合赤軍側の描写が皆無。悪を悪として、固定的に描く不気味さ。『カルテット』ではないが、白黒つけないグレーがなければ、虚しい。善悪虚実混じる気迫に満ちた、若松孝二の『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』がいい。
・相撲
7日目に観に行った。
白鵬、豪栄道の休場があり残念に思う気持ちもあったが、横綱、大関安泰の一日。観戦に行った日は大抵、誰かが負けていたので、久々の安泰にホッとした。
14時から15時にかけて入り待ち。遠目に見える力士の名前をいち早く言う癖があり、「石浦来たよ」「隠岐の海、隠岐の海」「正代きた!」だの騒いでいたら、周囲の人々に「詳しい人」扱いされて、「稀勢の里関はいつ来るのか」とか「鶴竜関は何時頃か」などと聞かれてしまう。しかし、毎日入り待ちしているわけではないから、そこまで知らない。国技館だと「もうそろそろ境川部屋来るよー」などと精通しているおじさんもいるけれど、ぼくのような若輩者に務まる役目ではない。
その後、13日目、12連勝の稀勢の里が日馬富士との一戦に敗北、さらに土俵下でうずくまり、怪我。14日目、にわかに優勝戦線に浮上した照ノ富士が琴奨菊に注文相撲で1敗を堅持。稀勢の里は鶴竜に完敗。照ノ富士に批判が集まり、稀勢の里への応援ムードが高まる中、千秋楽、稀勢の里、照ノ富士の直接対決。まさかの稀勢の里の勝利、そして優勝決定戦でも勝利、という予想外の劇的な展開。
稀勢の里の2連覇はたいへん嬉しいことでした。ただし、照ノ富士への批判は腹立つ。膝の具合は本人や周囲の人間以外知らないのだ。千秋楽の稀勢の里の変化がけがによるものとして許されるなら、照ノ富士のそれも許されなければ差別だ。そういういちゃもんは鬱陶しいですよ。ましてや、日馬富士への批判なんて1ミリもあってはならない…。
来場所は高安の大関とり、白鵬、日馬富士、鶴竜らの復活、照ノ富士の綱とり、などを楽しみにしています。
・兵庫県立美術館『新宮晋の宇宙船』展
昨年、長崎美術館と横須賀美術館でも開催されていたらしい。美術雑誌の熱心な読者でないからかもしれないが、話題になった印象がなかったけれど、面白い展覧会だった。
ぼくにとって「県立美術館」とは兵庫県立美術館だ。事前に調べずに行っても、きっと面白いのがやっている、と信じている。
展示室に一歩足を踏み入れると、作品が天井から吊るされ、風を受けクルクルと回っている、不思議な空間。
どこかで、こんな作品を観たことがあると、記憶を辿ると、箱根の彫刻の森美術館や札幌芸術の森野外美術館だと思う。
『雲の牧場』@札幌芸術の森野外美術館
『終わりのない対話』@箱根 彫刻の森美術館
青空の似合う彫刻作品たちだが、室内の作品もとても神秘的だった。
特に気に入ったのは『小さな惑星』。
ふらりふらりと動く様に15分ほど魅入った。作品の動きは、不規則。動画を見てほしいのだが、その不規則な動きが時間の存在を感じさせる。今、自分が生きていて、作品を見ていること。美術館の中を何人かの人が作品を見ているだろうこと。建物の外でいろんな人が何かしていること。誰もいないところの樹々だとか、そんな世界のあらゆるところでぼくの存在に関係なく時間は進んでいっている、そのことを感じる。
作品の形状はブランクーシを想起させるが、光が反射するその動きに、レンブラントのことを思ったり、関係あること、ないこと、いろんなことを考えた。
新宮晋の作品は、風の形や水の重み、そして時の流れといった目に見えないものを映し出す。それが彫刻作品、芸術作品の本質なのだな、と感動した。
『小さな花』
一定せずにゆらりゆらりと動く繊細な作品。なぜかマティスの貼り絵を思い出した。ミニチュア版の作品があれば、欲しいものだ。
・スパワールド 世界の大温泉
入場料1000円と岩盤浴代1000円でこれは贅沢すぎる。岩盤浴、また行きたい。都内では安いところどこかなあ。
露天風呂で講談「水戸黄門」と落語「まんじゅうこわい」を聞くが、露天では外から電車の音も聞こえるし、風呂の湯の音もうるさくて、さほど。
・落語
繁昌亭にて桂雀太を聴きに行く。3人会だったので、月亭方正、桂三幸も。演目はそれぞれ「まんじゅうこわい」「山崎屋」「涙をこらえてカラオケを」。
雀太は新人賞を取った「代書」を期待したが、それは仕方がない。姿格好の大きさは落語のスケールの大きさ。枝雀直系の爆笑系。ぜひ、東京でもやってほしい。聴きに行きます!
方正はまくらなし。まくらなしでも、方正の存在自体がまくらみたいなもんなのだから、いいのだろう。キュートで、技術もあり、客の集められる落語家。
三幸は桂文枝の創作落語。前前前世を入れるなど、楽しさ溢れるネタでした。
前座で「お初天神」も。1月に喬太郎を聴きにいった際も前座が「お初天神」だったが、ぼくには上方の方が断然聴きやすかった。演者の実力か?
・シン・ゴジラ対エヴァンゲリオン交響楽
ゴジラは本当に音楽に力のある映画だと思った。でも、まあ、エヴァを作るための資金集め、余興ですね。庵野監督がんばってください。
・ONIGAWARA『ヒットチャートをねらえ!』
生粋のJ-pop好きだなあ、と感心した。SMAPじゃないか! というような曲ばかりで、好感が持てる。
口ロロっぽさもある。ライブ、行ってみたい。
オルセーのナビ派展:美の預言者たち ―ささやきとざわめき|三菱一号館美術館(東京・丸の内)
ナビ派は素敵だ、かわいらしい。平面と色彩にこだわった結果、ほとんど抽象表現のようなものもあったり。この時代の挑戦は、思想と作品がきちんとリンクしており、さらに仲間との呼応もあって、面白い。
ぼくはナビ派のヴュイヤール派。
ゴーギャン「『黄色いイエス』のある自画像」
エドゥアール・ヴュイヤール「ベッドにて」
右側 ローナイ「アリスティード・マイヨールの肖像」
寒さをまとったまま、3月が終わっていく。