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いつも考えていること

祝婚歌

祝婚歌

 

分からないことを言えば、

あなたは選ばれてそこにいるのではなく、

かといって

あなたが選んだからそこにいるのでもなく、

偶然に

(つまりそれは必然に)、

今、二人はそうして並んで立っているのであるから、

安心していい

 

素直なことを言えば、

君らならくだらないことを言って笑う生活が送れそうだから、

(不断の努力とともに)

永劫、そうしていておくれ

 

余計なことを言えば、

いや、よしておこう

 

今日この日が厳粛で、

緊張に満ちつつも、

楽しく、

笑いにあふれ、

祝福とともにあれば、

二人は良いスタートを切れた と

言えるのではないか

 

最後に、また、わからないことを言えば、

生きることを楽しさ や(もちろん楽しめばよい)

苦しみ や(もちろん苦しみも時に必要だ)

穏やかさ や(もちろん穏やかな時間がないとしんどい)

そういった気持ちに貶めてはならない

生まれて、死ぬ、

間を生きている

それそのものを豊かに感じられれば、

随分と思い切った生き方もあると思うし、

二人が一緒にいることを存分に味わえるのでは、と思う

 

まずは死ぬまで、

少しの間

 

 

祝婚歌と言えば吉野弘

二人が睦まじくいるためには

愚かでいるほうがいい

立派過ぎないほうがいい

 あるいは田村隆一

おまえたち

木になれるなら木になるべし

 

おまえたち

水になれるものなら水になるべし

(略)

ただし人の子が人になるためには

木のごとく

水のごとく

そして(ここが重要なのだが)

木にならず

水にならず

鳥にならず

言語によって共和国をつくらざるべからず

 

人よ 人の子よ

ぼくをふくめておまえたちの前途を心から

祝福せん

されば

友人の結婚式に出て、久々に詩が書きたくなったので、書いた。

彼に贈るわけじゃない。ただ、書いた。

詩を書くと、少しすがすがしい気持ちになる。

昔から、そうだったような、気もする。

恥ずかしい気持ちにもなっている。

しかし、あなたでなくてもよかったかもしれない時に、しかし、あなただったから、今があるということを不思議に思う。

祝、結婚。

いや、祝、人生。